第19回モスクワ国際児童青少年映画祭レポート1
「鉄の女」と呼ばれた審査委員長 扇 千恵  
審査結果を発表する筆者 私を除く4名の審査委員の票が2対2に分れた。後者を推すアナトーリイは韓国の作品は最初の10分間で、やがて少年が改心することが観客に分かってしまう映画であり、少年に対してシンパシイが感じられないので、子供達は最後まで見ることができないだろうと評した。一方、アルチョームは「手紙」が感動を呼ぶ作品であるとするなら、「おばあちゃんの家」は教える映画だと教育者らしい意見を述べた。クシュシュトフは監督の立場から、「手紙」の世界は静止していて、「おばあちゃんの家」は道徳的な転機を含む動的な作品だと評価した。実を言えば両作品にグラン・プリを与えたくてその可能性を確かめたのだが、それは不可能だという事務局の返事が返ってきた。

 私に最終決定権が与えられた。「手紙」では現代の子供たちをめぐる世界的な状況が設定されていると言って良いだろう。にもかかわらず描かれている世界は小さな環である。作品の簡潔さと主人公の心の美しさは観る者を十分に感動させる。しかし、私はイランやトルコの児童映画でこのような作品を多く観てきた。一方、「おばあちゃんの家」は確かに少年の変化を容易に予測することができる作品だが、それがこの作品のテーマではない。主人公は老婆である。彼女は自分の生活に満足している。これみよがしな感情表現が抑えられているだけに、普遍的な世界が彼女の生き方を通して伝わってくる。都会の子供に対する批判ではなく、都会と農村の生活環境の違いに対しても広い視点が感じられる。特にエピローグでの祖母の姿は映画的にも完璧だ。という私の意見で、グラン・プリは韓国映画に決定した。おかげで私は「鉄の女」という異名を頂戴したが。

 感動したのはクロージングでの発表の場だった。この映画祭には白熱した議論を戦わせる"児童審査委員"たち小学生から成る「児童審査委員会」が存在するのも大きな特徴のひとつである。驚いたことに彼らがグラン・プリ作品に決定したのも、やはり「おばあちゃんの家」だった。最後に私たちの決定が発表されたとき、彼らはどんなに喜んだことだろう。どよめきと共に大きな拍手が起こり、私はドキドキしてしまった。彼らは完全なポスト・ペレストロイカ世代である。混迷する資本主義時代の中で自分たちの生活をしっかり見つめているのだ。という印象を持った。そしてパーティの席でやさしい眼をしたアルチョームの「今の子供達には期待できるのです」という言葉を聞いて、ますますその想いを強くしたことだった。
(次回報告では映画祭が行われた児童映画館について書く予定です)
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