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昨年12月28日から1月6日まで開かれた第19回モスクワ国際児童青少年国際映画祭に審査委員長として招待された。ロシア映画社の山内氏と私がモスクワ入りした日は数年来の大寒波だとかで気温はマイナス34度。「モスクワがあなたがたを歓迎しているのです」と事務局の人に言われる。
この映画祭はモスクワ国際映画祭の中の児童映画部門が1983年に独立したもので、故ロラン・ブイコフ(「外套」 「アンドレイ・ルブリョフ」「コミッサール」 「道中の点検」 等の作品に俳優として出演、「かかし」 その他の監督としても有名)が、児童映画のために作った財団が中心となり、企業の協賛を得て現在まで続けられている。ブイコフ亡き後,財団の議長を勤めてるのが、元映画大臣のアルメン・メドヴェージェフで彼には日本の映画人の知己も多く、来日経験もある。
私とポーランドの監督クシュシュトフ・グラドウスキー以外の審査委員はロシア人で、「かかし」のカメラマンであるアナトーリイ・ムカセイ、劇団俳優のイーゴリ・ヤスローヴィチ雑誌の編集長で教育者のアルチョーム・ソロヴェイチクの計5名であった。やはり5年前に審査委員として参加したときは、セルゲイ・ソロヴィヨフ監督が委員長で各国から7名の映画人が審査委員として招待されたのだが、その時に較べると予算」が節減されているのだろうと感じた。
コンペティションに出品された作品は全部で11作品、出品国はフランス、ロシア、韓国、中国、日本(ちなみに出品作は小沼監督の「なぎさ」)ポーランド、オランダ、ドイツ、イスラエル、フィンランド、イタリアである。この中から4作品に賞を与えることになったが、グラン・プリ作品を選ぶにあたりかなりの論議が交わされたので、ここに紹介しようと思う。対象になった2作品は韓国の「おばあちゃんの家」(2002年、イ・ジョンヒャン監督)とポーランドの「手紙」(2002年、デニヤル・ハサノヴィチ監督)だった。 |
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