第7回 ウラジオストック映画祭便り | 扇 千恵 | |
日本からの今年の審査員は監督の岩井俊二さん。数年前のモスクワ映画祭に『スワロウテイル』を出品された時にもお会いしていたので、思い出していただくためにご挨拶しておく。 さて、オープニングフィルムは『奇蹟』(2009年、ロシア、アレクサンドル・プロシュキン監督)という作品で、フルシチョフ時代の1956年にサマーラ県で実際に起きた事件「立ったままのゾーヤ」をもとにしている。 祝日に文化の家(公共の文化施設)でフィアンセを待っていた娘のゾーヤはニコライ(奇蹟を起こす聖人)のイコンを壁から外し、そのイコンを手に持ったままダンスを始める。そして突然、凍りついたように動かなくなった彼女が、その場に立ったままの姿で180日を過ごしたという事件だ。 この不可解な出来事を解明するために首都からジャーナリスト(人気俳優ハベンスキー演じる)が派遣されたり、フルシチョフその人がやってきたり、と大変な騒ぎになるが何も解明されない。また、地方の党幹部(人気俳優マコベツキー演じる)はこのような事件は社会主義ソ連において起こるべきではない、とヒステリックになるが、これもどうしようもない。 この村には厳格な宗教者としての生活を送る神父と彼の家族が住んでいて、父の生き方に反発している息子が、やがて奇跡的にこの状況を元に戻すことになるのだが、私には映画化の意図がよく理解できなかった。ちなみに、この作品は31回モスクワ映画祭で審査員賞を受賞している。 |
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