さて、本題であるコンクール作品の話に入ろう。4日間で9本の長編と10本の短編を観た。長編と短編が取り混ぜて上映されるのは珍しい。しかも長編、短編それぞれにグランプリを与えるとはいうものの、主演賞などは全上映作品の中から選ばれる。新人の発掘をも映画祭の目的のひとつに挙げているからだろうか。しかしながら、やはり主演賞となると長編の登場人物の方が強い印象を与えることは否めない。
 出品作品の製作国はシンガポール、中国、インド、ペルー、日本、ロシア、韓国、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコの12カ国。19作品を全部観た上で、最終的にまとめて審査しようということになり、私は事務局から渡された一覧表に毎日、観た作品の評価を書き込んでおいた。審査委員の顔ぶれを紹介しよう。委員長を務めたのは、私も何度かお会いしたことのあるロシアの元映画大臣で批評家、プロデューサーのアルメン・メドベージェフ、そして残る4名の審査委員はノルウェーの監督クヌト・エリク・イェンセン(自分はアナキストだから国から作品を援助してもらうことは難しいと語る心優しい人物)、アルゼンチンのエドゥアルド・アンチン(彼は数学者からサッカーのレフェリー、そして映画批評家へと転職してきた変り種)、中国の監督ヤン・ヤッジョウ(10月の東京国際映画祭に出品、来日予定)と私だった。

『サンチャゴの日々』(2004、ホセ・メンデス監督) 長編では5名の審査委員が揃って推した作品が2点あった。ペルーの『サンチャゴの日々』(2004、ホセ・メンデス監督)と中国の『マウンテン・パトロール』(2004、ルー・チュアン監督)。
 前者は除隊して家庭に戻ってきた23歳の青年サンチャゴの話で、彼は当然仕事に就けるものと思っていたが、その期待はことごとく裏切られる。友人は離れていくし、妻も彼のことを理解しない。戦争シンドローム、家族の崩壊、若者の労働状況、弱者の自殺など世界各国に共通した社会問題を扱いながら、型にはまらず最後まで観客を惹きつける。主人公を演じた男優がとても良かった。
『マウンテン・パトロール』(2004、ルー・チュアン監督) 後者は実話にもとづいている。中国西部の山岳地帯にある自然保護区ケケシリでは大規模の密猟が絶えない。それを取り締まる山岳パトロール隊はボランティアから成り立っている。彼らには国からの補助もなく、食糧や衣料、それにパトロールのためのジープの燃料さえ不足する始末だ。しかしながら、彼らの密猟者たちに対する取締りと逮捕は容赦ないもので、厳しい自然環境の中で命を賭けて行なわれる。悲劇的な結末で終わるこの作品はオーソドックスだが感動的だった。第一にカメラが優れていた。パトロール隊のメンバーひとりひとりの人物と運命がしっかりと描かれていた。雄大な景色も素晴らしかったし、話の運びのテンポに緊張感がみなぎっていた。音楽も大変良かった。監督は1970年生まれ、デビュー作『ミッシング・ガン』(2001)がヴェネツィア映画祭で上映されている。
審査委員5名 左よりエドゥアルド、ヤン、扇、メドヴェージエフ、エリク
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ウラジオストック2007年9月 扇 千恵
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