[かいせつ]
1970年代の米ソの"デタン卜"(緊張緩和)のムード中で実現した、初の米ソ合作映画で、子供から大人まで楽しめるミュージカル・ファンタジー。米ソ両国の豪華なスタッフ・キャストが惜しみなく投入された超大作である。撮影は、ソビエトのレンフィルム・スタジオにアメリカ側スタッフが大挙して乗りこみ、約1年をかけて完成した。
原作は、ベルギー生まれのノーベル賞作家モーリス・メーテルリンク(1862〜1949)の不朽の名作戯曲「青い鳥」。幸福を呼ぶ青い小鳥を探すチルチルとミチルの冒険は、"幸福は身近なところにある"という教訓とともに世界中の人びとに愛されてきた。身近な世界への思いやりこそが幸福をもたらすというテーマは、まさしく国際友好にふさわしい。
監督は、「マイ・フェア・レディ」(1964年)の名匠ジョージ・キューカー。撮影は、アメリカから「アラビアのロレンス」(1962年)など3度のアカデミー賞に輝く名手フレディ・ヤング、ソビエトからは「ハムレット」(1964年)で世界中の映画人を唸らせたヨナス・グリツィウス。音楽はソビエトのアンドレイ・ペトロフとアメリカのアーウィン・コスタルが共同で担当。
出演者も大スター揃いで、「母」「母の愛」「光」「妖女」の1人4役をこなすエリザベス・テーラー、「夜」を演じるジェーン・フォンダ、「楽しみ」役のエバ・ガードナーの3大女優が初顔合わせで華麗に競演する。「ネコ」のシスリー・タイソン、「時の老人」のロバー卜・モーレー、「イヌ」のジョージ・コール、「カシの木の大王」のハリー・アンドリュースなどベテラン俳優の共演も見逃せない。さらに、ソビエトからはボリショイ・バレエの新星プリマ、ナジェージダ・パブロワが青い鳥に扮して可憐な踊りを披露し、レニングラード・バレエ団が総出演している。
愛らしい主役チルチルとミチルは、カリフォルニア出身で当時10歳のトッド・ルッキンランドと8歳のロンドン子、パッツィ・ケンシットが演じた。 |
[あらすじ]
雪のクリスマス・イブ。まずしい木こりの子どもたちチルチルとミチルは、老婆の願いで病気の娘を助けるため、ダイヤモンドのついた帽子をもらって青い鳥を探す旅に出ることになった。このダイヤモンドを回すと、いままでは見えなかったさまざまなものが見えてきた。老婆が消えて光の精が姿をみせ、イヌやネコ、そしてミルクやパン、水や火の精たちが元気よくとび出してきて、冒険がはじまった。
思い出の国では、死んだおじいさんとおばあさんに再会する。そこで飼っているツグミが青いので大喜びでもらったが、そこを離れるともとの黒いツグミになってしまう。
夜の宮殿は、闇と死と恐怖の世界だった。開かずの扉の向こうに無数の青い鳥が乱舞しているのを見つけてチルチルとミチルはカゴいっぱいに捕まえたが、すぐに死んでしまった。
楽しみの国は、あらゆる楽しみやぜいたくに浮かれさわいでいたが、チルチルたちには、何の感銘もなく失望する。
未来の国では、これから生まれ出ようとするたくさんのこどもたちが時の老人の合図を待っていた。一羽の青い鳥がこどもたちと一緒にいるのを見て、チルチルたちは、追いかける。
気がつくといつのまにか、わが家に戻っていた。 一緒に冒険した仲間たちも元の姿に戻っていった……
目がさめるとチルチルとミチルは、べッドにいた。ふたりには、あらゆるものが新鮮に感じられ、優しい心に満たされて、水に、パンに、ミルクに、イヌにあいさつをした。ふと見ると、前から飼っていたキジバトが青い鳥になっている。ふたりはさっそく病気の少女のところに持ってゆき、早く元気になるように励ます。ところが、少女がエサをやろうとしたとたん、青い鳥は大空高く飛び去ってしまう… |
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[スタジオ/製作年] レンフィルム+米
エドワード・ルイス・プロ1976年製作 米ソ合作 |
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[スタッフ]
監督:ジョージ・キューカー
撮影:フレディ・ヤング
ヨナス・グリツィウス
音楽:アンドレイ・ペトロフ
アーウィン・コスタル
衣裳:エディス・ヘッド |
[キャスト]
チルチル:トッド・ルッキンランド
ミチル:パッツィ・ケンシット
母・母の愛・光・妖女:エリザベス・テーラー
夜:ジェーン・フォンダ
楽しみ:エバ・ガードナー
青い鳥:ナジェージダ・パブロワ
ネコ:シスリー・タイソン
時の老人:ロバー卜・モーレー
イヌ:ジョージ・コール
カシの木の大王:ハリー・アンドリュース
マルガリータ・テレホワ
オレーグ・ポポフ
レニングラード・バレエ団 |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ]
35mm / カラー/スタンダード
[上映時間]
1時間40分
[日本公開年・配給] 1976/7/2・東宝東和
[VIDEO・DVDなど]
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