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僕の無事を祈ってくれ
ИГЛА

[「ソビエト映画の全貌91」パンフレットより転載]

[かいせつ]

原題=「針」

1988年オデッサ娯楽映画祭映画クラブ審査員賞
1989年"ソビエト・スクリーン"誌男優ベストテン(ヴィクトル・ツォイ)

 監督ラシド・ヌグマノフはアルマ・アタ出身で1954年生れ。モスクワの国立映画大学在学中にレニングラードのロック・ミュージシャンの内面を描く短編「ヤ・ハー」で87年モスクワ国際映画祭FIPRESSI賞を受賞、「僕の無事を祈ってくれ」は彼の卒業制作で長編第一作である。
 主役のモロにはレニングラードの人気ロック・バンドのリーダーでやはりカザフ出身のヴィクトル・ツォイを抜擢。故郷のアルマ・アタに舞い戻ったモロと呼ばれるこの青年は、かつては愛したこともあるが、今は麻薬に溺れているヒロインを立ち直らせるために、彼女を取り巻く密売グループや麻薬中毒者たちに敢然と立ち向かってゆく。国内では内省的で孤独なモロこそ"ロマンチックな反逆者ジェームズ・ディーン"を連想させると、3度目の映画出演で、ツォイの人気はこの作品でいよいよ高まった。そして作詞、作曲を担当、音楽もツォイが率いる"キノ"によっている。
 ソビエトの映画評も「孤独がこれほどふさわしく、魅力的に映る映画は我々のスクリーンでは他に思い出せない。主人公が何者で、何をなりわいとしているか知らないが、彼は新しい主人公と呼んでさしつかえない個性的な本質を内に備えており、若きヌグマノフ監督は彼らの登場をむしろ予見している。」("ソビエト・スクリーン")と、これまでの集団的な思考、生活、行為から解き放たれた、自らの行為を自らで決め、行動する新しいヒーローの誕生を告げている。卒業制作でありながら、国内ではペレストロイカ後に初めて実施された88年オデッサ娯楽映画祭映画クラブ審査員賞や89年"ソビエト・スクリーン"誌男優ベストテンに選ばれるなど大衆的支持を得たのは、ツォイの人気に加え、この映画が持つこの新しい兆候をファンが感じとったからであろう。1990年、ヴィクトル・ツォイの交通事故死は多くのロック・ファンを嘆かせたが、映画界でも映画の主人公さながらの運命を思い起させて衝撃的であった。マリーナ・スミルノーワはこれがデビュー作、外科医アルトゥールは、やはりロックバンドのリーダー、ピョートル・マモーノフが演じている。

[あらすじ]
 モロが舞い戻った故郷のアルマ・アタの街は人影も見えず、荒涼としている。彼はまづ、友人のスバルタクのもとに借金の取立てに行くが、金は返してもらえない。やむなく、かつての恋人ディーナを訪ねる。モロは、彼女の家の別荘に泊めてもらおうと考えた。が、ディーナの父の死後、別荘は処分されていた。自分のアパートに泊るようにと言って、鍵を手渡すディーナ。だが、久し振りに会ったディーナに以前の面影はなく、彼女の気配はどことなく不自然で、奇妙な連中が出入りしている様子だ。
 ある日、モロはスバルタクに連れられて、スバルタクの仲間がたむろしているバーへ行った。そこでケンカに巻き込まれたモロは、あっと言う間に相手をのしてしまったが、仕返しを恐れるスバルタクはモロに、ほとぼりが冷めるまで姿を消せと告げる。
 一度は列車に乗りこんだものの、再びディーナのもとに取って返したモロに彼女は、病院への就職を世話してもらった外科医アルトゥールに誘惑されてヤク中にされ、病院の麻酔薬を横流しさせられていたことを告白した。海が見たいとモロに懇願するディーナ。
 彼は人里離れた岸辺の小屋にしばらくディーナを匿い、麻薬をやめさせようとする。そしてそれは成功したかに見えた。町へ戻った彼は、もはや必要のなくなった薬のアンプルを箱ごとアルトゥールに渡した。だがこのアンプルの密売にモロまで巻きこまれ、あげく麻薬中毒者たちに捕まり、乱闘騒ぎの末、ディーナのもとに逃げ帰るが、彼女はまた薬に手を出している。
 モロはアルトゥールに復讐しようとするが追いつめた相手が恐怖に慄くあわれな臆病者にすぎないのを知って、その場を立ち去る。そして今度こそディーナを中毒から立ち直らせようと心を決めたその矢先、モロは麻薬中毒者の一人にナイフで襲われる……。

[スタジオ/製作年] カザフフィルム・1988年製作

[スタッフ]
脚本:アレクサンドル・バラノフ
    バフイト・キリバェフ
監督:ラシド・ヌグマノフ
撮影:ムラト・ヌグマノフ
美術:ムラト・ムシン
音楽:ヴィクトル・ツォイ
演奏:"キノ"

[キャスト]
モロ:ヴィクトル・ツォイ
ディーナ:マリナ・スミルノーワ
アルトゥール:ピョートル・マモノフ
スバルタク:アレクサンドル・バシロフ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー / 2218m
[上映時間] 1時間21分
[日本公開年・配給] 「ソビエト映画の全貌91」1991/8/24(三百人劇場) ・ 日本海

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パンフレットソヴェート映画史−七つの時代
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