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チャイコフスキー
ЧАЙКОВСКИЙ
Tchaikovsky

[かいせつ]
'70サン・セバスチャン国際映画祭主演男優賞
 アメリカ映画音楽界の巨匠であり、「真昼の決闘」「アラモ」など、幾多の名曲で知られるハリウッドきっての映画音楽の作曲家で亡命ウクライナ人ドミトリー・ティオムキンが戦前より温めていたという企画をもとに、当時、ソビエトの映画、音楽界が総力を結集して作りあげた音楽映画の大作である。
 ロシヤの偉大な作曲家チャイコフスキーがかずかずの名曲を生み出すまでの内面的な苦悩と、人生にも音楽にもさまざまに投影しているかれの三つの愛を、「ピアノ協奏曲第一番」「悲槍」ほか幾多の旋律に乗せて描いた伝記映画である。ツルゲーネフ、ルービンシュテイン、デジレほかの同時代人も登場する。
 監督のイーゴリ・タランキンは1927年生まれで、ヴェネチア、カルロヴィ・ヴァリなどの映画祭で受賞経験をもつ中堅。音楽監督はこの作品で祖国への帰国を果したテイオムキン。撮影はその天逝を惜しまれる女流カメラマン、マルガリータ・ピリヒナ。
 「ハムレット」他の名優スモクトゥノフスキーがチャイコフスキーを演じ、繊細で傷つきやすい芸術家の心を好演した。「戦争と平和」のアントーナ・シュラーノワや「カラマーゾフの兄弟」のキリール・ラヴロフといった演技派が脇を固めている。
 また、世界最高のプリマ、マヤ・プリセツカヤがチャイコフスキーの恋人役を演じ、かつ彼女の当り役である「白鳥の湖」を踊っているのも話題のひとつ。
 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団ほかの演奏、ボリショイバレエ団、オペラ団の出演が優美華麗な音楽映画を一層盛りたてる。原版は70ミリ。

■監督紹介 イーゴリー・タランキン
 1927年生れ。グラズノフ演劇音楽学校を経て、55年国立演劇大学監督科を卒業。さらにモスィルム附属映画研究所の高等監督課程に学び、卒業制作の長篇『セリョージャ』('60ゲオルギー・ダネーリヤと共同、60年カルロヴィ・ヴァリ映画祭グランプリ受賞)が処女作。単独演出の第二作『序章』(63)はベネチア映画祭審査員特別賞を受賞している。大胆なモンタージュで女流詩人の内面世界を浮彫りにした第三作『昼の星』(67)も話題になった。映画製作のかたわら、モスフィルムの映画研究所で後進の指導にあたっている。
[「ソビエト映画の全貌」(1981年発行)パンフレットより転載]

[あらすじ]
 1875年、チャイコフスキーは、新たに設立されたモスクワ高等音楽院で教鞭を取るかたわら、作曲に励んでいたが、完成したばかりの「ピアノ協奏曲第1番」をめぐり、師で親友でもあるルービンシュテインと感情的トラブルを起す。
 同じ頃、かれはイタリアのソプラノ歌手デジレ・アルトーに恋していた。華麗に燃えさかった恋であったが、しょせん結ばれる恋ではなかった。この時の苦い記憶がバレエ組曲「白鳥の湖」を生むことになる。
 やがて彼は、プーシキンの小説にもとずくオペラ「エフゲー二一・オネーギン」の創作に没頭する。そしてオペラの主人公オネーギンさながら、殆ど未知の女性から手紙をもらうという奇妙なことが起こる。手紙の主は、かつて音楽院で教えたことがあるアントニーナ・ミリューコワという娘。二人は結婚に至るが結局は破綻を迎え、チャイコフスキーは苦悩の日々を送ることになった。
 そんな彼の支えになったのがフォン・メック未亡人だった。大金持だが孤独でチャイコフスキーの音楽を唯一の慰めとしている夫人は13年間にわたって、チャイコフスキーの音楽に深く傾倒し、経済的援助を惜しまないが、二人は生涯一度も会ったこともなく、たがいに交わしあった1200通にのぼる手紙だけがかれらの愛の証であった。
 は苦悩と孤独のなかから多くの名曲を残し、1893年、交響曲第6番"悲槍"を自ら指揮して8日後、その偉大な生涯を閉じた。

[スタジオ/製作年] モスフイルム・1970年製作

[スタッフ]
脚本:ブジミール・メタリニコフ
    ユーリー・ナギービン
    イーゴリ・タランキン
監督:イーゴリ・タランキン
撮影:マルガリータ・ピリヒナ
音楽:ドミトリー・ティオムキン
美術:アレクサンドル・ポリーソフ
    Yu・クラジェンコ

[キャスト]
チャイコフスキー:インノケンティー・スモクトゥノフスキー
ナジェージダ・フォン=メック:アント二ーナ・シュラーノワ
アリョーシャ:エフゲニー・レオーノフ
デジレ:マヤ・プリセツカヤ
ルービンシュテイン:ウラジスラフ・ストルジェリチク
ミリューコワ:リリヤ・ユージナ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 70mm 35mm / シネマスコープ / カラー /
[上映時間] 2時間35分
[VIDEO・DVDなど] 絶版(VIDEO=東宝)
VIDEO=IVCB-7021 DVD=IVCF-37 発売元:アイ・ヴィー・シー 販売元:ビームエンタテインメント(発売日:1998/11/25)

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