[かいせつ] 三大巨匠の一人プドフキンの監督処女作(共同監督)にあたる短篇コメディー。
レフ・クレショフ監督の実験工房に参加、モンタージュを中心とした映像表現を学ぶと共に、同監督の作品等で脚本・俳優・美術・助監督を務めて豊富な経験を積んだプドフキンが、1925年モスクワで開催された国際チェス競技大会と前後して巻き起こった空前のチ手ス・ブームをテーマに作りあげたものである。
或るカップルの恋愛劇を中心に、チェス中毒にかかった人々の滑稽な挿話を繊り込んだ軽妙なストーリー展開、エキセントリックなギャグと酒落たユーモアに加えて皮肉たっぷりの諷刺が冴える作風は、当時のクレショフエ房の雰囲気も彷彿とさせており興味深い。
当時、既に巨匠のプロタザーノフ(「アエリータ」他)や後に才能を開花させるバルネット(「小箱を持った少女」他)ライズマン(「大地は渇く」他)といった監督が俳優として出演しているのも興味深い。 |
主人公の青年は極度のチェス中毒。ハンカチからソックス、帽子に至るまで身の回りの物には全てチェスの碁盤模様を施こす徹底ぶりである。チェスに夢中の余り、婚約者とのデートに遅刻し、彼女と二人の時も上の空。
彼女は頭にきて祖父に相談するが、やはリチェス狂の彼も当にはならない。すっかり悲嘆に暮れた彼女は薬屋で毒をもとめる。ところが薬剤師もまたチェス狂。対戦中の彼は心ここにあらず、毒の代わりに駒を渡す始末…。
一方、青年は自分の態度を深く反省して彼女と仲直りしようと決意する。そんな折、彼女が偶然にもチェスの世界チャンピオン、カパブランカと出会ったお陰で遂には彼女も立派なチェス狂となって、二人の婚約者は仲良くチェス盤を四んでハッピーエンドとなる。
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[スタジオ/製作年] メジラプポム・ルーシ 1925年製作 |
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[スタッフ] 脚本:ニコライ・シピコフスキー
監督:フセヴォロド・プドフキン
ニコライ・シピコフスキー
撮影:アナトーリー・ゴロヴニャ |
[キャスト] 主人公:ウラジーミル・フォーゲリ
婚約者:アンナ・ゼムツォワ
彼女の祖父:セルゲイ・コマロフ
薬剤師:ヤーコフ・プロタザーノフ
薬剤師助手:ユーリー・ライズマン
チヤンピオン:ホセ・カパプランカ |
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[ジャンル] 短編劇映画
[サイズ] 35mm / 白黒 / サイレント
[上映時間] 20分(24駒/秒) |