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田園詩
PASTORALI
(グルジア語のアルファベット表記)

[かいせつ]
1982年ベルリン国際映画祭国際批評連盟賞受賞
カトリック国際連盟特別選奨

 グルジア映画の第二世代、オタール・イオセリアー二が独自の映像世界を深化させた傑作。
 ドキュメンタリーのように、まるで日常生活を写し出したにすぎぬかのような映像。物語らしい物語はなく、素人による地とも芝居ともつかぬ演技。あらゆる作為が排されたように見えながら、みずみずしい映像が、自然の営みや、生きとし生けるものの息づかいを静かに語りかけてくる。そして、人間の暮らしの尊さを感じとり、映画を見終わった時には新鮮な感動の余韻を味わうことになる。
 イオセリアー二監督はこの映画で、「作家、音楽家、画家といった天性と思われる職業についている人々が、その本来の特性を失わずにいられるかどうかを分析したい」、と考えたという。そこで、実際にトビリシの四重奏団を村に連れて行く。鶏の鳴き声やトラクターのエンジンの音など生活の雑音が飛び交う農家のバルコニーで、モーツァルトを演奏させた。年頃の少女を連れてきて彼らとの間においた。すべて、ありのままの環境の中で撮影され、出演者もほとんどが素人で、物語は時間の流れのままに進行していく。
 そこには、都市と農村、若者と大人、インテリと労働者・農民といった世の中のあらゆる対立の構造を、文学や演劇の話法とはまったく別の「映画の物語」として作り上げたイオセリアーニの世界がある。
 海外では、早くからその才能を評価されたイオセリアー二だが、ソビエト体制時代は、当局の物差しに合わず、その作品の製作や公開は常に紆余曲折を重ねた。この作品以降、イオセリアーニは、国内での活動の不自由さから、80年代に入ってパリに拠点を移すこととなった。
 撮影監督のアベサロム・マイスラーゼは1927年生まれ。記録映画の出身で、「落葉」、「歌うつぐみがいました」の他、レヴァズ・チヘイゼ監督の「苗木」(73)等を手がけたグルジア・フイルムの重鎖である。

[あらすじ]
 グルジア、黒海近くの人里離れた緑がまぶしい農村。夏のある日、数人の若い音楽家たちが都会からやってきた。彼らは四重奏団のメンバーで、静かな環境で新しい曲の練習をするためである。
 都会からきた彼らは、村人たちにとってはちょっとした事件である。村の男たちは何かと接近しようとする。少年たちも話しかけるきっかけをつかもうと、いたずらをしかける。
 音楽家たちは、コルホーズの運転手の家に宿泊することになり、その家の娘エドゥキが音楽家たちの世話をすることになった。幼い弟や妹の面倒を見ながらで急に忙しくなったが、音楽家たちとイチゴ摘みをしたり、粉挽小屋に行っておしゃべりしたり、干草の山の上に寝転んだりして楽しみもできた。やがて、メンバーの一人の青年に淡く切ない思いを抱くようになっていった。
 一方、村人たちには日々の生活があり、そこには様々な対立もある。牧草地の草を勝手に刈った男とそれに文句をいう男。エドゥキの家の新しく作る窓の向きが気にいらない、と怒鳴る隣家のかみさん。エドゥキの父親は、コルホーズのトラックを私用に使い、上役に叱られる。
 ある日、この村の実力者の一人、カレおじさんがやってきた。村の長老アントンを囲むパティーが開かれた。しかし、このパーティーが、問題の種となった。楽団のメンバーも招待されたが、出席したのはリーダーだけだったのだ。悪酔いしたリーダーは、仲間に当り散らし、エドゥキが心を寄せる青年とリーダーは激しく対立する。エドゥキの家では、カレおじさんへのお土産として、とっておきのワインまで渡してしまったといって、父親が怒り、夫婦喧嘩になってしまう。
 夏も終わりに近づき、グルジアに雨の季節がやってくる。そして、音楽家たちが都会へ帰る日もやってくる。

[スタジオ/製作年] グルジアフィルム・1976年製作
              Gruziayafilm

[スタッフ]
監督:オタール・イオセリアー二
脚本:レゾ・イナニシヴィリ
    オタール・イオセリアー二
    オタール・メフリシヴィリ
撮影:アベサロム・マイスラーゼ
美術:ヴァフタング・ルルア
音楽:テイムラズ・パクラーゼ

Directed by : Otar IOSELIANI
Screenp1ay by : Rezo INANISHVILI
         Otar IOSELIANI
         Otar MEKHRISHVILI
Director of Photography : Abesalom MaISURADZE
Art Director : Vakhtang RURUA
Music by : Teimuraz BAKURADZE

[キャスト]
エドゥキ:ナナ・イオセリア一二
カレ:レゾ・チャルハラシヴィリ
音楽家:タマーラ・ガパラシヴィリ
     ミハイル・ナネイシヴィリ
     ヌクリ・タヴィタシヴィリ
     マヤ・マツァベリーゼ
マリーナ:マリーナ・カルツィヴァーゼ
隣家の夫婦:ネストール・ピピア
       クセニア・ピピア

Eduki : Nana IOSELIANI
Kale : Rezo CHARKHARASHVILI
Musicians : Tamara GABARASHVILI
       Mikahail NANEISHVILI
       Nukri DAVITASHVILI
       Maiya MATSABERIDZE
Marina : Marina KARTSIVADZE
Neighbor's Cople : Nestor PIPIA
          Ksenia PIPIA

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / モノクロ / 全5巻/2690m/グルジア語版
[上映時間] 1時間38分
[日本公開年・配給] エキプ・ド・シネマ第106回ロードショー 1995/4/8 ・日本海映画

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