[「ソビエト映画の全貌91」パンフレットより転載]
[かいせつ]
1965年マル・デル・プラタ国際映画祭監督賞、最優秀製作賞、色彩撮影賞、特殊効果賞
コチュビンスキー生誕100年記念
原作はウクライナの文豪ミハイル・コチュビンスキーの「忘れられた祖先の影」。ウクライナの南、カルパチア山地に生まれた"ロミオとジュリェット"風の悲恋物語である。アルメニア出身でその希有な才能がタルコフスキー監督とともにペレストロイカ後に再評価されたセルゲイ・パラジャーノフ監督作品。恋の幻影にとりつかれて死の苦悩におちこむ主人公イワンコの内面を、大胆で新鮮な映像感覚と独自の構成で幻想豊かな画面に描くとともに、鮮やかな色彩効果のなかに特異な民族の生活と風習が浮き彫りにされる。パラジャーノフ監督の第二作だが、それまでのソビエト映画からは想像することもできなかった宗教的で耽美的な映像で、パラジャーノフの名は一躍世界的に知られることになった。 主人公イワンコは自らもカルパチア出身で監督・脚本家・俳優として将来を属望されていたが、1987年、天逝したミコライチュークが演じ、映画を彩る歌や踊りはすべてロケの現地で選ばれた素人によるもの。 |
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[あらすじ]
ウクライナの南、カルパチア山地に住むペトリュクとグデニュクの二つの氏族は、何世代にもわたっていがみあいが続いていた。ある日、両家の車軸がふれあったことから、グデニュクはペトリュクを斧で殺してしまった。悲しみにくれるペトリュクの妻。しかし、敵同志であるはずの両家の子供たち、イワンコ・ペトリュクとマリチカ・グデニュクの二人は幼い時から兄弟のように遊びたわむれ、大人になったいま、互いに愛し合うようになっていた。
イワンコは母親を説きふせ、山の家にマリチカを連れて行って、二人で暮そうと考えていたが、そのためには金が必要だった。イワンコは出稼ぎに出た。
イワンコが村を去って、しばらくたった霧の深いある日、羊を追っていたマリチカは足を踏みはずし、高い崖から落ちて死ぬ。
マリチカを失い、生きる望みもないイワンコ。やがて母親は死に、家畜は売り払われ、家は崩れるにまかせられた。見かねて村人たちは美人のパラグーナをイワンコの嫁にと世話をしたが…… |
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[スタジオ/製作年] ドヴジェンコ記念キエフスタジオ・1964年製作 |
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[スタッフ]
原作:ミハイル・コチュビンスキー
脚本:セルゲイ・パラジャーノフ
イワン・チェンディ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
撮影:ユーリー・イリエンコ
美術:M・ラコフスキー
G・ラクートビッチ |
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[キャスト]
イワンコ:イワン・ミコライチューク
マリチカ:ラリーサ・力ードチニコワ
パラグーナ:タチヤーナ・ベスタエワ
ユーラ:スペルタク・バガシヴィリ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー /
[上映時間] 1時間37分
[VIDEO・DVDなど] VIDEO=IVCB-7015 DVD=IVCF-26 アイ・ヴィー・シー |