[「ソビエト映画の全貌91」増補版より転載
[かいせつ]
'62カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリ
'62サンフランシスコ国際映画祭名誉賞
'65メルボルン国際映画祭名誉賞他
ソビエト映画の第二世代の一人、ミハイル・ロンム監督(1901-71)の代表作である。ロンム監督は60年代の"雪どけ"期にA・タルコフスキー、A・ミハルコフ=コンチャロフスキー、T・アブラーゼ、G・チュフライら多くの俊才を世に送り出す一方、この作品で自らも、折しも新しい時代の息吹のなかで映画の革新を志した。これまでのプロット中心の映画作りを離れ、最先端の原子物理学に従事する若い学徒たちを主人公に、彼らの生き方、青春模様を、彼らの内面の動きを通して描くため、ショットの配置、構成などにこれまでと違うスタイルを試みた。
ロンム監督はそのため、まだ無名の、だが、その大胆なカメラワークで注目されたゲルマン・ラヴロフを撮影監督に抜擢した他、アレクセイ・バターロフとインノケンテイ・スモクトゥノフスキーら当時、新進の俳優たちにも、新スタイルに相応しい演技を求めたが、彼らはその期待に応える好演ぶりだった。
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[あらすじ]
愛と友情と仕事で結ばれた男女3人の物語を一年のうちの九日に絞って綴っている。
1960年代、シベリアの地方都市にある原子力研究所。核融合の重要な実験が進行している。この実験は危険と隣り合わせで、有名な物理学者シンツォフも実験中に浴びた放射能が原因で命を落す。彼のもとで研究活動を続けている若い物理学者グーセフにしても同じ危険にさらされている。そんな彼を気づかう同僚のリョーリャ。
学会が開かれているモスクワ。グーセフ、同じ物理学者仲間のクリコフ、そしてリョーリャの3人が暫くぶりに顔を合わせる。研究一途のグーセフ、シニカルだが機知にとむクリコフ、2人を前にして心の動揺を隠せぬリョーリャ。
やがて、リョーリャは生命の危険を省みず、研究に励むグーセフの力になろうと結婚する。しかし、家庭も省みず自らの命を賭してまで挑む核開発とは一体、何なのか、彼らに課せられた課題は大きい。 |
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[スタジオ/製作年] モスフィルム・1961年製作 |
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[スタッフ]
脚本:ダニール・フラブロヴィツキー
ミハイル・ロンム
監督:ミハイル・ロンム
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
美術:ゲオルギー・コルガノフ
音楽:ジョン・テル=タテボシャン |
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[キャスト]
グーセフ:アレクセイ・バターロフ
クリコフ:インノケンティ・スモクトゥノフスキー
リョーリャ:タチアナ・ラヴロワ
シンツォフ:ニコライ・プロートニコフ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / モノクロ
[上映時間] 1時間48分
[日本公開年・配給] 1993/4/3 ・ 日本海
[VIDEO・DVDなど] VIDEO=IVCB-7083,DVD=IVCF-73 発売元 : アイ・ヴィー・シー販売元
: ビームエンタテインメント(発売日:1999/03/25) |