■ストーリー
私ほ、いつもかならず同じ夢をみる。夢は
いつも、40数年前に私が生まれた祖父の家へ
と私をいざなってくれる。
うっそうと茂る木立に囲まれた家の中で、母は、
たらいに水を入れ髪を洗っている。鏡に映った、
水がしたたる母の髪が、ゆれている。あれは
1935年、田舎の干し草置場で火事があった時
のこと。その年から父は、家からいなくなった。
突然の母からの電話で、夢から醒める。母
からエリザベータが死んだことを知らされた。
彼女は母がセルプホフカ印刷所で働いてい
た時の同僚である。母が、国立出版所の原稿
に校正ミスがあったのでないかと、案じて、
しのつく雨をおして、印刷所に出むいたあの
時に、エリザベータは、母の父に対するわが
ままな態度をなじったのだった。
両親と同様、私も妻ナタリアとは別れた。
ナタリアから、イグナートを1週間あづかっ
てくれといわれた時、そうだ、イグナートと
電話で言葉を交わした瞬間、私は、彼と同じ
年頃の時代の事々を思い出した。赤毛の、唇
がいつもかわいて荒れていた初恋の女の子の
こと。軍事教練のこと。そして、大戦中、モ
スクワからユリェヴェツに疎開している時、
母に連れ“られて16キロもの道のりを、ザヴラ
ジェに祖父の知人をたずねて行き、宝石をお金
にかえようとしたこと………。
そして、哀れだった母のことが、母の負担
になったであろう少年時代の記憶が、同じ境
遇をたどっでいるイグナートのことが、私を
苦しめる……。
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