●解説 ニキータ・ミハルコフ監督は一九四五年生 れ、俳優としてはハンサムで魅力的なスタイ ルを早くから知られてはいたが、監督作品も 最新作「オブローモフ」を含めてすでに6本、 殆んどが海外の映画祭で受賞するなど、話題 を集めてきた。兄のアンドレイ・ミハルコフ =コンチャロフスキー(「貴族の巣」「ワーニ ャ伯父さん」ほか)やタルコフスキー(「惑星 ソラリス」「鏡」ほか--らの戦後派に続く、モ スフィルムのニュー・ウェーブを担う一人で ある。 「機械じかけのピアノのための末完成の戯 曲」はチェーホフ大学時代の戯曲「プラトー ノフ」に、「地主屋敷で」「文学教師」「三年」 「わが人生」などの短篇のモチーフを加えて映 画化したもの。世紀未の崩れつつある貴族の 田園生活とロシヤ・インテリゲンチャをおお う退廃的気分を、今日的感覚にあふれるユー モアと諧謔に包んで描きあげた見事な演出力 は、完成当時32才のこの若手監督の名を国際 的にした。第25回サン・セバスチャン映画祭 "金の貝殻"賞受賞作である。 主演のアレクサンドル・カリャーギン、ユ ーリー・ボガトイリョフらのモスクワ芸術座 の若手男優陣、「戦争と平和」「チャイコフス キー」でおなじみのレニングラードの名舞台女 優アントニーナ・シュラーノワ、そのほかい ずれも舞台の名優が顔を揃えての俳優アンサ ンブルの素晴らしさも、この映画の話題の一 つ。ミハルコフ監督に抜擢されてサーシャを 演じたエヴゲーニヤ・グルーシェンコはモス クワのマールイ劇場所属、映画は初出演だが、 お人好しで善良な妻を見事に好演している。 |
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