●これは現代ソビエト映画の最高水準を示す 作品であるだけでなく、世界の映画史の上で もユニークな立場を主張できる傑作だ。チェ ホフは自分の戯曲は喜劇として演出されなけ ればいけないと言い残した、その難問がここ ではじめて見事に解決されているし、チェホ フの時代を借りて現代ソビエトの知識層の苦 悩がナマナマしい息づかいをもって語られて いる。やさしくて、切なくて、涙がこぼれる ほど笑わせられるのだ。 佐藤忠男(映画評論家) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●試写室ではじめて観せてもらったのだけれ ど、見終わってすっかり魅了されてしまった。 この映画にたいへん感心したのは、現代の映 画的手法の新しいいろいろな試み(アラン・ レネの動的なカメラ・ワーク、フェリーニの 人物配置など--が大胆にとり入れられて映画 そのものとしてもすばらしいだけではなく、 さらにそのような映画的手法によって、チェ ーホフの戯曲のなかに登場する主要人物の原 型がみごとにとり出されているからである。 毎日新聞より(中村雄二郎) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●チェホフの劇世界は、百年間、生きてきて 今なお「若い」。 その事実を、ソ連の新進映画監督ニキータ ・ミハルコフが証明してみせてくれた。しか もとびきりおかしく、美しく、痛切に。--中略) また、映画全体の仕立て方で特筆すべきは そのりズムだ。緊迫した瞬間、あるいは涙腺 を刺激しそうな感傷的な一瞬ぎごちない沈 黙が流れるバツの悪い数秒間などがあると、 必ずそれに踵を接して途方もなく滑稽な場面 が続き、直前の「悲劇」なり「感傷」なり「ロマン ス」なりを相対化してしまうというリズムである。 朝日新聞より(樹) |
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