[かいせつ] 1997年ソチ映画祭最優秀デビュー作品賞
1997年学生映画コンクール第2賞
文部省選定
ある日、こどもたちがペット市場からただで貰って来た「こねこ」と家族たちの悲喜こもごもの物語をさわやかに描く佳作。
フェージン役のアンドレイ・クズネツォフは、世界的にも珍しい猫の調教師で、その世界の第一人者と言われている。この映画では、この"クズネツォフ・ファミリー"の猫たちが大挙出演し、人間の俳優も顔負けの名演技で映画全編を圧倒している。
監督のイワン・ポポフは、グラフィック・デザイナーから高等監督養成所に入り、この作品はその卒業製作として企画されたが、1994年に撮影開始、96年に完成と2年の歳月を要している。ちょうどこの時期はロシアが極度のインフレに悩まされていたころで、新人監督の長編デビュー作ともなると、幾多の困難があったことは想像にかたくない。
ポポフ監督の父母は、かつての映画王国・モスフィルムの技術スタッフで、父親は脚本、母親は録音、夫人は美術、と製作スタッフとしてこの映画に参加している。また、息子と愛娘も子供役で出演している。
映画の内容と同じく家族を総動員して作られたこの作品は、優れた匠を抱えながら自国資本だけでは製作のままならない現代ロシア映画界を象徴しているともいえよう。そして、この清々しい作品は"ねこ好き"ならずとも、その映画作りへの情熱を随所に感じさせ、大人も子供も楽しめる心暖まる映画となっている。 |
[あらすじ]
モスクワに住む音楽家一家の子供たちが、ある日、ペット市場で一匹の子猫を貰ってくる。子猫は、「チグラーシャ」(トラ猫の愛称で「トラちゃん」といった意味)と名づけられるが、何せいたずらざかり、一家に様々な波瀾を巻き起す。家族中のイライラがつのり、チグラーシャは追い出されそうになるが、子供たちは、トイレの躾をして引き止める。
しかし突然、チグラーシャは、窓辺で遊んでいるうちにトラックの荷台に落ちてしまい、見知らぬ通りに運ばれてしまう。
一家の懸命の捜索も空しく、何日たってもチグラーシャは見つからない。チグラーシャも我が家を探して街を歩き回り、ワーシカという猫に助けられる。ワーシカは、チグラーシャを雑役夫のフェージンのところへ連れて行く。そこには、たくさんの猫たちがいた。
チグラーシャが、やっと平静を得たと思ったのもつかの間、フェージンは屋根裏部屋の明渡しを要求する追い立て屋との争いで大怪我をし、病院に入れられてしまう。猫たちは街へ出て、様々な知恵を働かせて食べ物を探し、お互いを支えあって生き延びる。
大晦日、仲間たちと通りに出たチグラーシャは、懐かしい響きを耳にする。子供たちと一緒に過ごしていたころ聞いたパパのフルートのメロディーだった。チグラーシャは、演奏中のステージに駆け登る。
一方、病院から帰ってきたフェージンは、ひとり寂しく、新年を祝おうとしていた。そこに、猫たちが次々と帰ってくる… |
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[スタジオ/製作年] モスフィルム・1996年製作 |
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[スタッフ] 脚本:イワン・ポポフ
アレクサンドル・マリヤモフ
監督:イワン・ポポフ
撮影:ウラジ−ミル・ファステンコ
美術:イリーナ・マルツ
音楽:マルク・ミンコフ
録音:エカテリーナ・ポポワ=エヴァンス
編集:ワレリーヤ・ベロワ
衣装:タチヤナ・リチマノワ
SCRIPT IVAN A. POPOV
with participation of ALEXANDER N. MARILOV
DIRECOR IVAN A. POPOV
CAMERA VLADIMIR I.FASTENKO
DESIGNER IRINA A. MARZ
COMPOSER MARK A. MINKOV
SOUND EKATERINA D. POPOVA-EVANS
EDITOR VALERIA A. BELOVA
COSTUME DESIGNER TATIANA I.LICHMANOVA |
[キャスト] フェージン:アンドレイ・クズネツォフ
おばあさん:リュドミラ・アリニナ
パパ:アレクセイ・ヴォイチューク
ママ:タチヤナ・グラウス
マーニャ:マーシャ・ポポワ
サーニャ:サーシャ・ポポフ
指揮者:アレクサンドル・フルギン
ボディガード:アレクサンドル・ペスニコフ
オレーグ・ヴェルシニン
CAST ANDREI KUZNETSOV and HIS CATS
LYUDMILA ARININA
ALEKSEI VOTYUK
TATYANA GRAUZ
MASHA POPOVA
SASHA POPOV
ALEKSANDR KHURGIN
ALEKSANDR PESKOV
OLEG VERSHININ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー / 2292m
[上映時間] 1時間24分
[日本公開年・配給] 1999/7/15 ・ロシア映画社
[VIDEO・DVDなど] VIDEO=IVKP-1(日本語字幕版), IVKP-2(日本語吹替版 / DVD=IVCF-2070, アイ・ヴィー・シー(2002/10/25) ,IVCF-142(1999/11/25)
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