「オブローモフの生涯より」<内外の反響より> 黒澤 明 この映画は実に瑞々しい。 映画の中を爽やかな風が吹き抜ぬているようだ。 思うにそれは、原作の新鮮な文学精神に触発きれたニキータ・ミハルコフの若々しい映画精神の所産だろう。 私は、その無垢な映画精神に感動した。 ニューヨーク・タイムス(米) この映画はイマジネーションを刺激する。監督が構築したフィクションと何かミステリーめいたものとが感じられるからである。すでにニューヨークでも公開された"愛の奴隷"と同様に、エレガンスとロマンチシズムに充ちている。この映画には、監督としてのニキータ・ミハルコフに備わっている特質、新鮮さと壮麗さとがきわだっている。 インターナショナル ヘラルドトリビューン(仏) イワン・ゴソチャロフ原作の映画化「オブローモフの生涯より」こそ、カンヌ映画祭の本当の発見であった。ロシアの文豪が持つ、コミカルな味わいとナンセンスなシチュエーションの奥に、胸を締めつけるような悲しみが感じられるのだ。それを映像化することにニキータ・ミハルコフ監督は成功している。 役者の演技は、多くのソビエト映画と同様に、プロフェッショナルな水準が高い。 レスト デリ カルリーノ(伊) 深く、思想的な内容、具像化の壮麗なフォルム、明白な牲格づけ −主役、脇役を問わず− それらすべては、ソビエトの若き監督の作品にタルフフスキー、キューブリック、ヴィスコンティ、トリュフォーらの巨匠の作品が影響を与えていることをもの語っている。風景や色彩の撰択もすばらしい。パーヴェル・レベシュフのカメラも見事だ。 デイリー ニュース(米) ここには眼を魅きつけるシーンが沢山ある。 雷の空間、馬ぞり−前世紀ロシアがまざまざと想起させられる。 「オブローモフの生涯より」は、この映画の作家たちの非凡な知性の証である。 |
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