ものがたり
 二十世紀初頭のグルジヤ。ピロスマニ
は長年奉公した地主の家を後に、トビリ
シの町へ旅立つ。それは彼の苦難の人生
の初まりであった。
 転々と職を変え、流浪の日々が流れて
いく。再びトビシリに舞い戻った彼は、友
人ドミトリーと共に店を開く。だが、ピ
ロスマニは商人には向かなかった。彼は
昼ひなか、店を脱け出し、ひと抱えの乾
し草を買ってくると、それを広げて横に
なり、客が店に入ってくるのを、ながめ
ている。姉夫婦の持ってきた縁談もうま
くいかない。まもなく、ドミトリーと仲
違いをしたピロスマニは、店の品物を貧
しい人々に分け与えると店を閉じてしま
う。
 また、流浪の生活が始まる。絵筆を手
にした彼は、生きとし生けるものへの限
りない愛情をキャンバスに託して優しく、
大胆に描き続けた。それは、明日なき日
々を送る街の人々のささやかな支えとな
った。
 だが、カフェーで見染めた踊り子マルガ
リータヘの酬われぬ愛は、ピロスマニを
自暴自棄な生活へ追い込んでいく。一杯
の酒を得んがため、かれは絵具箱を手に
居酒屋を渡り歩く。
 その頃、彼の作品が、この地にやって
きたロシア人と、フランス人の2人の画
家の目にとまる。彼らはピロスマニを捜
して、トビリシの画家たちの会合に連れ
出そうと言いはじめた。ピロスマニは有
頂天になった。やっと幸せの陽がさし込
み始めたかにみえたが……
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