[かいせつ]
'84カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭新人部門賞
'85第一回東京国際映画祭ヤンク・シネマコンクール参加作品
1949年生れのヴィクトル・プローホロフ監督の長篇第一作。ある小さな田舎町を舞台に、そこに住む無名の画家や、彼を取り巻く素朴で自然な人々との束の間の交流を通して、物質的な生活に慣らされた都会の青年は自らの人生観や価値観を問われるようになる。川を下る結婚式の舟、川辺の小屋でのラヴシーン、屋外のダンスシーン、展覧会の夜景など、「愛の奴隷」や「オブローモフの生涯より」で知られるパーヴェル・レベシェフのカメラは叙情豊かに自然と人間の調和を捉えている。
主演のロジオン・ナハペトフは、監督としても有名で、70年代に登場したモスフィルムの"ニューウェーブ"の一人。シナリオのアレクサンドル・アレクサンドロフは「想い出の夏休み」「青いノート」など若者の徴妙に揺れ動く心の襲を描いた作品を多く手がけている。「そして素晴らしい文化や芸術の源泉はこうした民衆のなかにこそある」と監督はこの映画のテーマを語っている。 |
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[あらすじ]
カセットテープを聞きながら、慌しくマイカーで役所に出勤するニキータは35才の独身。エリート職員らしく、単調だが規則正しい生活を送っている。
そんなある日、美術通信大学から、パリのアマチュア美術展に出品する、セラフィーム・ポルベスの作品を選定するため、聞いたこともない田舎町への出張を命ぜられる。一夜明けて、緑と水の流れに彩られた町へ着いたニキータは早速、さらに奥まった村にセラフィームを訪ねる。セラフィームは噂に違わぬ変り者で蔓というのに毛布を被って、暑いアフリカに、思いを馳せながら絵を描いている。そしてセラフィームの魅力的な絵のかずかず……。
ニキータはまた、セラフィームの心を暖かく包みこむような妻マルタ、セラフィームの喧嘩相手で無二の親友−−ひとりでピサの斜塔の保存法に心をくだくヤーコフ老人、その他にもさまざまな無邪気で実直な人々を知った。なかでも、モスクワで勉学したこともある少女ダーシャとの出会いこそ、ニキータの心に大きな波紋と熱い力を呼び起した……。
[「ソビエト映画の全貌'87」パンフレットより転載]
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[スタジオ/製作年] モスフイルム・1983年製作 |
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[スタッフ]
脚本:アレクサンドル・アレクサンドロフ
監督:ヴィクトル・プローホロフ
撮影:パーヴェル・レベシェフ
美術:リュドミーラ・クサコーワ
音楽:アレクセイ・ルイブニコフ |
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[キャスト]
ニキータ:ロジオン・ナハペトフ
セラフイーム・ポルベス:エドゥアルド・ボチャロフ
ダーシャ:ダーリヤ・ミハイロワ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー
[上映時間] 1時間31分 |