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処刑の丘
[かいせつ]
 「暑熱」'66(カルロビ・バリ国際映画祭受賞作品)、「君と私」'72(ベネチア映画祭受賞作品)で知られるソビエトの女流映画監督ラリーサ・シェピチコの1976年作品で、77年ベルリン映画祭金熊監督賞受賞の注目作である。
 人は、時として苦しい瞬間には、心ならずも自分の信念を棄て、安易な道を選んでしまうことがある。だが、その代償は、結局、自分が支払わねばならなくなる。他人に裁かれるよりも、自分自身の良心に責められることの方が、どれほど辛く恐ろしいものであることか。自分の良心を欺くことなく、仲間の安全を願って死んでいったソートニコフと、敵に身を売って生き残ろうとしたルィバク。
 映画は、この二人の対照的な人物の内面的な葛藤を軸に、敵に占領されたベロルシアの雪の戦場を舞台に繰り広げられたパルチザンの闘いをもの語っていく。
 モスクワの北方、ムーロムの町にロケして撮影されたモノクロームの映像が、ベロルシアの厳しい冬と、人間の生と死の尊厳を巡って展開されるシリアスなドラマとを効果的に描きあげて、深い感動を呼ぶ作品である。

[あらすじ]
 ベロルシア、1942年の冬。ドイツ軍に追撃されたパルチザン部隊は辛うじて森に逃げ込む。彼らは疲れ果て、食料も尽きていた。この時、夜のうちに部落へ行って食料を調達してくるよう命ぜられたのは、血気盛んなルィバクと体の弱いソートニコフの二人だった。 万事が首尾よく運んでいたかにみえたが、突然、敵の銃弾が二人を襲う。ソートニコフは足に負傷し、ルィバクに背負われて、農民デムチーハの家へ転がりこんだ。だが、結局、ドイツ軍に発見され、パルチザンの連絡兵ペトローム、かくまってくれたデムチーハ、ユダヤの幼い少女らと共に暗い地下室に連行されてしまう。
 訊問がはじまる。今や、ドイツ軍の手先となった刑事ポルトノフはさまざまな拷問で口を割らせようと試みる。しかし、ソートニコフは沈黙を守り通す。
 一方、ルィバクは、警察に身を売って、一時的にはドイツに奉仕することになろうとも、生き残ってその後に敵を打てばよい、というポルトノフの巧妙な手にのせられて自分の身を明かしてしまう。
 処刑の前夜。捕らえられた仲間のうちには誰ひとりとして、警察が追求する罪を犯したものはなかったが、ソートニコフは、わが身にあらゆる罪を被ろうと決心する。それは捕らわれている仲間の命を救うことになるかもしれないというかすかな希望を抱いたからであった。
 ついに処刑の朝がやってくる。ソートニコフは自分で考えついた証言を述べたてた。が、もはや事態を変えることはできなかった。処刑は行われた。ただ一人残されたルィバクは人々の軽蔑の眼にさらされ、深い孤独感に戦慄するのだった…
(1978年記 野枝 実)

[スタジオ/製作年] モスフィルム 1976年製作
[スタッフ]
原作:V・ブイコフ(「ソートニコフ」より)
脚本:ラリーサ・シェピチコ/ユーリー・クレピコフ
監督:ラリーサ・シェピチコ
撮影:ウラジーミル・チュフノフ

[キャスト]
ソートニコフ:ボリス・プロートニコフ
ルィバク:ウラジーミル・ゴスチューヒン
ポルトノフ:アナトリー・ソロニーツィン

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm /  スタンダード / モノクロ
[上映時間] 1時間50分

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