[「ソビエト映画の全貌91」パンフレットより転載]
[かいせつ]
1980モントリオール国際映画祭審査員特別賞
カトリカ推理映画祭第一賞
パリ国際SF映画祭特別賞
ベロルシア(白ロシア)の作家ウラジーミル・コロトケヴィチが同名の小説を自ら、ルビンチク監督と共同で脚色。
怪奇と幻想が交錯するサスペンス映画で、ベロルシアに特有な沼沢地にあるポーランドの地主貴族の荒涼とした館とその周辺で物語は展開する。17世紀初頭、農奴制の改革を訴えて決起した農民たちの英雄"スタフ王"は領主の手によって暗殺されたが、彼のさまよえる魂は肉体なきあともこの世にあって、領主の子孫にたたり続けたという伝説が、物語のモチーフになっている。いまだに恐怖におののきながら生きている、領主の末裔の美しい娘を主人公に、かの女の周囲で起こるさまざまな神秘的で猟奇的な事件を横糸に、またこの伝説の謎を追い続けるペテルブルグの若き学徒ベロレツキーの不可思議な体験を縦糸に、この映画はベロルシヤの300年にわたる民族の歴史を映し出していく。70年代に登場した一連の"新叙事詩"の潮流を組む作品の一つである。 |
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[あらすじ]
1899年もおしせまる頃、若い民族学者ベロレツキーは、ペテルブルグから民話の取材のため、ベロルシア北西地方のポレーシェ村にやって来る。そこで、彼が雨宿りのため迷いこんだ館こそ、かの「スタフ王」と呼ばれた農民の頭目を暗殺した領主ロマン・ヤノフスキーの屋敷だった。そして全裸で祈祷を受ける若い女主人ナジェージダの姿に何か不吉なものを予感するベロレツキー。
ナジェージダの成人の祝いの日、ヤノフスキー家ゆかりの人々、支配人ガツェヴイチ、成り金のドゥボトフク、キエフ大学生スヴェチロヴィチなどが寄り集っている。が、翌朝、ナジェージダが気を失って倒れる。この時、ガツェヴィチはベロレッキーに17世紀から続く、ヤノフスキー家にまつわる「スタフ王」のたたりをもの語り、館を即刻立ち去るようすすめた。そして次々と起る怪奇な出来事ガツェヴィチの死体が野原で見つかり、何かを知っていそうなスヴェチロヴィチも殺された。ナジェージダがヤノフスキー家最後の犠牲者となる日が近づきつつあるかのようだった……。
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[スタジオ/製作年] ベラルシフィルム・1979年製作 |
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[スタッフ]
原作:ウラジーミル・コロトケヴィチ
脚本:ウラジーミル・コロトケヴィチ
ワレーリー・ルビンチク
監督:ワレーリー・ルビンチク
撮影:タチヤーナ・ロギーノワ
美術:アレクサンドル・チェルドヴィチ
音楽:エヴゲニー・グレボフ |
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[キャスト]
べロレツキー:ボリス・プロートニコフ
ナジェージダ・ヤノフスカヤ:エレーナ・ジミートロワ
ガツェヴィチ:アリベルト・フィローゾフ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / カラー
[上映時間] 1時間49分
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