[かいせつ]
第ニ次大戦末期のある一日を描いたニキータ・ミハルコフ監督の卒業制作。戦争を描きながらも、祖国愛や、戦争の悲劇を声高に描くのではなくて、戦争中のさりげない一日の情景を描くこの34分の短篇は、その映画作法、モチーフともミハルコフ監督のその後の作品を語るうえで見逃がすことのできない作品である。
音楽のエドゥアルド・アルテミェフは、その後、「光と影のバラード」「愛の奴隷」などミハルコフ監督の全作品に関わっており、また、舞台美術のアレクサンドル・アダバシャンは、この作品以後も美術、共同脚本、時には俳優として出演する等、ミハルコフ作品には欠かせないスタッフである。
(1987年「ソビエト映画の全貌'87」パンフレットより) |
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[あらすじ] 1944年のロシア、侵略してきたドイツ軍は撃退され、戦線は西へと移動していた。が、まだ敗残兵が出没していた頃である。
戦火がとだえたある日、戦争前は水彩壁画の仕事をしていた兵士アンドレイは、ドイツ兵が略奪しそこなった絵を負傷した軍曹がいた教会へ運び入れた。が、そこへ区執行委員たちが、その絵を観にジープで乗りつける。アンドレイは引取書なしでは見せないと拒んだ。そこで絵を受取るのをあきらめ、満員だったジープは、女兵士アダラートを下ろして、代りに負傷兵を乗せて立ち去る。
人影のなくなった教会にただ二人残されたアンドレイとアダラート。初めて出会った二人が束の間、語らい、水浴びに興じる。だが再び、戻った教会には、三人のドイツ兵がいた。様子を窮う二人。が、ドイツ兵が絵に火をつけるのを目撃するや、アンドレイは耐えきれずにドイツ兵に向って発砲した。銃撃戦の最中、アンドレイはドイツ兵に撃たれて死ぬ……
(1987年「ソビエト映画の全貌'87」パンフレットより)
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[スタジオ/製作年] モスフィルム/1973年製作 |
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[スタッフ]
脚本:R・イブラギムベコフ
監督:ニキータ・ミハルコフ
撮影:D・コルジヒン
美術:イリーナ・シレーテル
アレクサンドル・アダバシャン
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ |
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[キャスト]
アダラート…ナターリヤ・アリンバサーロワ
アンドレイ…セルゲイ・ニコネンコ
軍曹…アレクサンドル・カイダノフスキー
ドイツ兵…ユーリー・ボガトィリョフ
アレクサンドル・ポロホフシコフ他 |
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[ジャンル] 短編劇映画
[サイズ]35mm / スタンダード / モノクロ
[上映時間] 34分
[保管状態] プリント |