[かいせつ] 第二次大戦を戦い、戦後の困難な生活を乗り越えて、建設や復興を支えてきた戦中派と現代の平和な生活しか知らない若者たちとの世代の断絶をテーマにしたこの作品は、アンドレイ・スミルノフ監督以下殆どのスタッフが、戦争を知らない戦後派世代である。白ロシヤ駅はかれらの父親たちがドイツとの戦いに勝利してベルリンから帰還した終着駅であった。
監督のアンドレイ・スミルノフは、1941年生れ。父は無名戦士の功績を発掘した作品で知られる作家で、詩人、脚本家でもあるセルゲイ・スミルノフ。62年、全ソ国立映画大学監督科を卒業。短篇『おい!
だれか』(B・ヤーシンと共同)(62)が卒業制作。その後、TV映画『詩人ジャクリーヌ・フランソワ』ほかを製作しているが、『遠い日の白ロシヤ駅』(70)が国の内外で反響を呼び、モスフィルムの若手世代登場の先鞭をつけた。80年には、住宅建設現場でこの30年間に起りつつある大きな変革をそこに働くさまざまな人物像を通して描く『忠実に』を撮っている。
主題歌は、ヨーロッパでも人気のあったブラート・オクジャワの作詞、作曲。四人の戦友を演ずるベテラン俳優の哀歓こもる演技に味がある。 |
[あらすじ]
戦後25年ぶりにかつての四人の戦友――工場長ハルラモフ、配管工のプリホジカ、会計係のドゥヴィンスキー、ジャーナリストのキリュシンが、隊長の葬儀のために再会する。 そして葬儀の帰途、かれらはプリホジカの職場で突然起きたガス燥発事故の現場にかけつけ、青年を救いだす。その青年を病院へ運ぼうと、通りすがりの車を呼びとめるが、車を運転する若者はなかなか応じようともしない。こんな時、敵と戦いながら、戦火のなかで命をかばいあって生きてきた男たちは、自分たちの青春になぜかノスタルジアを感じるのだ。
青年をやっと病院へ送り届けたあと、四人はもと従軍看護婦のラーヤを訪ねる。隊長の死を知らされて悲しみに沈むラーヤが爪弾くギターに合せてかれらが口ずさむのは、あの時の連隊の行軍歌だ。あれから25年、五人の人生は各々にちがったが、かれらはおのが青春を祖国を守る戦いに捧げた、困難だが誇りある運命を担った世代だったのである。 |
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[スタジオ/製作年] モスフィルム・1970年製作 |
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[スタッフ] 脚本:ワジーム・トルーニン
監督:アンドレイ・スミルノフ
撮影:パーヴェル・レベシェフ
作曲:ブラート・オクジャワ
美術:ウラジーミル・コロヴィン |
[キャスト] ハルラモフ(工場長):アレクセイ・グラズィリン
プリホジカ(配管工):エフゲニー.レオーノフ
ドウヴインスキー(会計係):アナトリー・パパーノフ
キリュシン(ジャーナリスト):フセヴォロド・サフォーノフ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / カラー / シネマスコープ
[上映時間] 1時間36分
[日本公開年・配給] 1974/11/12 ・東和 |