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罪と罰
ПРЕСТУПЛЕНИЕ И НАКАЗАНИЕ
Crime and Punishment

[かいせつ]
 ドストエフスキー4大長篇の第1作、「罪と罰」(1866)は、19世紀末ロシアの苦悩を深遠な哲学的洞察力で描いただけではなく、社会や時代を超えた青春の情熱と苦悩を描いた名作として読みつがれてきた。また、サイコ・サスペンスにも似た内面描写の精妙さは、多くの映画人の創作意欲をかき立て、ドイツ(ロベルト・ヴィーネ)やフランス(ピエール・シュナール、ジョルジュ・ランパン)など世界各国で映画化されてきた。
 この作品はソビエト映画人による初の映画化で、レフ・クリジャーノフ監督が10年来の構想を実現させ、本場の威信に賭けた決定版となっている。
 貧しい大学生ラスコーリニコフが金貸しの老婆を殺す、迫真に満ちた描写でせまる第一部。老婆を殺したラスコーリニコフが良心の呵責に苦しめられ、ソーニャの清純な魂に見つめられ、ついに自首を決意する第二部。と、原作の精神に徹したクリジャーノフ演出が冴えわたる。
 原作の舞台であるペテルブルクの市街を中心にロケを行ない、19世紀ロシアのイメージを正確に再現しているのもこの作品の魅力となっている。
 主人公ラスコーリニコフには、レニングラード青年観客劇場の新人ゲオルギー・タラトルキンが抜擢されたが、主人公と同年の23歳、内面的な描写に秀れた演技で期待に応えた。また、ラスコーリニコフと緊迫した知的葛藤を演じる判事ポルフィーリーには「ハムレット」「チャイコフスキー」の名優スモクトゥノフスキーが扮している。

[あらすじ]
 ペテルブルクの裏町のアパートに住む貧しい大学生ラスコーリニコフは、人間はすべて凡人と非凡人とに大別でき、非凡人は、その目的が全人類的救済のためならば、地上のあらゆる法律、道徳を乗り越えられる、という超人思想に取りつかれている。彼はこの考えに従って金貸しの老婆を殺すことを思いつき、実行した。が、あろうことに老婆の妹まであやめてしまう。彼は内心己れの行為を正当化しながらも不安と悔恨に苛まれ始める。そして妹ドゥーニャの気にそまぬ結婚にも心を痛めて、いよいよ混迷を深くしていく。
 彼はその頃、貧窮のどん底にある家庭を救うためにわが身を売り、それでもなおけなげに生きている心やさしい少女ソーニャに出会う。犯罪についての予審判事ポルフィーリーとの話し合いも、ラスコーリニコフの苦悩を晴らしはしなかったが、そのさ迷える心は、悲しみと苦しみのみの不幸な生活にもめげずに生きるソーニャの大きく、純粋な愛によって初めて安らぎを覚える。ソーニャの前に膝まずいて、ラスコーリニコフは罪を告白する…

[スタジオ/製作年] ゴーリキー・スタジオ 1970年製作

[スタッフ]
原作:フョードル・ドストエフスキー
脚本:ニコライ・フィグロフスキー
脚本・監督:レフ・クリジャーノフ
撮影:ヴャチェスラフ・シュムスキー
美術:ピョートル・パシケーヴィチ
音楽:ミハイル・ジフ

[キャスト]
ラスコーリニコフ:ゲオルギー・タラトルキン
ボルフィーリー:インノケンティ・スモクトゥノフスキー
ソーニャ:タチアナ・べードワ
ドゥーニャ:ヴィクトリア・フョードロワ
スヴィドリガイロフ:エフィーム・コペリャン

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / シネマスコープ / モノクロ / 2部作
[上映時間] 2時間50分
[日本公開年・配給] 1971/3/27・東和
[VIDEO・DVDなど] VIDEO=IVCV-60048(第1部) IVCV-60049(第2部)
DVD=IVCF-18(第1部・第2部) アイ・ヴィー・シー

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パンフレットソヴェート映画史−七つの時代

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