[かいせつ] デカブリスト峰起150周年を記念してレンフィルムが製作した大作である。
1825年12月(デカブリ)14日早朝、ペテルブルグの冬宮の柔らかい雪が吹りしきる元老院広場……
この日、農奴制と専制政治に反対するロシヤ貴族の青年将校たち(デカプリストと呼ばれている)は、ニコライ1世即位に忠誠を誓うことを拒否して武装蜂起する。だがこの蜂起は広場の反乱軍を包囲した皇帝の兵士により鎮圧され、参加者の大部分は死刑又は流刑に若い身を晒すことになった。
映画は、1826年シベリヤに送られた夫のあとを追い、皇帝のあらゆる嚇かしや周囲の反対を振切り、貴族の称号を棄て、はるか厳寒の地に流刑囚の妻として愛と献身の苦難の日々を送ったデカブリストの妻たちを、レニングラードほかゆかりの地にロケして、当時そのままに再現する歴史絵巻である。
監督は「パミールの子供たち」「砂漠の白い太陽」(1970)のウラジーミル・モトィリ。撮影は「小犬を運れた貴婦人」(1960)のドミトリー・メスヒエフ。出演は「帰郷」(1970)のアレクセイ・バターロフ、「チャイコフスキー」(1970)のインノケンティ・スモクトゥノフスキー。3人のヒロインにイリーナ・クープチエンコ、ナターリヤ・ボンダルチュク、ポーランド女優エヴァ・ミクリスカらが顔を揃える豪華キャストである。
映画の題名はロシヤの詩人プーシキンが若き日にデカプリストに捧げた詩「チャダーエフ」から引用された。 |
[あらすじ] ナポレオン軍との戦いで勇名をはせたセルゲイ・ヴォルコンスキー公の若き新妻マリヤは、夫が専制打倒を目的とする結社に参加していようとは全然知らなかった。 マリヤはこの悲劇的事件が起る一年前にもう若くはなかったヴォルコンスキー公に嫁いだ。そしてマリヤに息子が生まれてまもなく事件は起きた。
当時のペテルブルグ社交界の名門トルベツコイ公の妻エカテリーナにとってもこの宿命的な日まで、その生活を脅かすようなものは何一つなかった。だが夫は戦時のはなばなしい勲功も豊かな富も棄て、民衆のために、民衆の自由と幸せのために生きることを崇高な使命と考えていた。
そして華やかな近衛将校アンネンコフの婚約者ポリーナは、ナポレオン軍の将校の娘で、二人が知りあったのは事件が起る半年前のことだった。彼女は想像を絶する意志の力で、絶望に打ちひしがれる若い恋人の心を救おうとする。
映画はこの3人の妻たちの波乱の運命と、自由と理想のために青春を燃焼させた青年群像を描いている。 |
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[スタジオ/製作年] レンフィルム・1975年製作 |
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[スタッフ] 監督:ウラジーミル・モトィリ
脚本:∨・モトィリ
O・オセティンスキー
M・ザハロフ
撮影:ドミトリー・メスヒエフ
音楽:イサーク・シワルツ |
[キャスト] トルベツコイ公:アレクセイ・バターロフ
トルベツコイ公夫人:イリーナ・タープチェンコ
ヴォルコンスキー公:オレーグ・ストリジェノフ
ヴォルコンスキー公夫人:ナターリヤ・ボンゲルチュク
近衛中尉アンネンコフ:イーゴリ・コストレフスキー
アンネンコフ夫人:エヴァ・ミクリスカ(ポーランド)
ニコライ1世:ワシーリー・リワーノフ
イルクーツク総監ツェィドレル:インノケンティ・スモクトゥノフスキー |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ]
35mm / カラー / スタンダード
[上映時間] 2時間48分
[日本公開年・配給] 1975/11/11 大分県農業会館・第13回ソビエト映画祭にて上映(11/14新潟市公会堂・11/17東京
読売ホール) |