[かいせつ]
1983年モスクワ国際映画祭グランプリ
1985年第1回東京国際映画祭(映画祭の映画祭)参加作品
マクシム・ゴーリキーの戯曲「ワッサ・ジェレズノーワ」をグレープ・パンフィーロフ監督が映画化。今世紀初頭のニージニー・ノブゴロド(後のゴーリキー市)の裕福な商人の家庭を舞台に滅びゆく階級の頽廃と悲哀、さらに新しい時代の兆しを描いた文芸作。
ジェレズノーフ家の主人セルゲイはのんだくれの淫蕩者で家業をかえりみない。この家の膨大な財産を管理しているのは強くて聡明な妻ワッサだった。
パンフィーロフ監督はデビュー作「火の中に浅瀬はない」以後、一貫して、各々に特異な、さまざまな運命を生きる女性を主人公に、内面のドラマを描き続けてきた。「ワッサ」でも事業拡張のためなら、夫に自殺まで強いる不撓不屈の女主人ワッサの悲劇を描いている。ワッサは監督夫人のインナ・チュリコワが演じている。
カメラは「アンナ・カレーニナ」「エゴール・ブルイチョフ」「想い出の夏休み」などで知られるレオニード・カラシニコフ。 |
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[あらすじ]
第1次世界大戦前夜の1913年。ジェレズノーフ家所有の貨客船"フョードル・ジェレズノーフ"号が全焼した。火災現場から戻ったジェレズノーフ家の女主人ワッサを追うように、予審判事がやって来る。ワッサの夫セルゲイが犯した淫行の罪は重く、もはや金でもみ消す事は不可能だと。思い余ったワッサは未婚の2人の娘とジェレズノーフ家の名誉を守るために、夫に自殺を図るよう迫る。結局、夫は妻の願いを聞き入れ服毒自殺してしまう。
父親亡き後、ワッサに特に厳しく反抗する長女ナターリヤ。そんな中でワッサは長男フョードルの息子ニコライを溺愛していた。革命家のフョードルは妻のラシェリとスイスに住んでいた。孫の名を冠した新造船"ニコライ・ジェレズノーフ"号の盛大な進水式が行われている頃、他人のパスポートを使って不法入国したラシュリが訪ねて来る。彼女は、夫の容体が悪く、息子ニコライを連れて帰りたいと言う。そしてラシュリは、この家の虚偽と欺瞞に満ちた生活を目撃して唖然とするのだった…… |
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[スタジオ/製作年] モスフィルム・1983年製作 |
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[スタッフ]
原作:マクシム・ゴーリキー
脚本・監督:グレープ・パンフィーロフ
撮影:レオニード・カラシニコフ
美術:ニコライ・ドヴィグフスキー
音楽:ワジーム・ビベルガン |
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[キャスト]
ワッサ:インナ・チュリコワ
セルゲイ・ペトロヴィチ:ワジーム・メドヴェーデフ
プロホル・ボリソヴィチ:ニコライ・スコロボガトフ
ナターリヤ:オリガ・マシナヤ
リュドミラ:ヤーナ・ボフラフスカヤ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー
[上映時間] 2時間15分
[日本公開年・配給] 1986/2/25(ソビエト映画新作フェア'86)・日本海 |