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野獣たちのバラード
ОБЫКНОВЕННЫЙ ФАШИЗМ

[かいせつ]
1966ライプチヒ国際記録映画祭グランプリ

 「一年の九日」の巨匠ミハイル・ロンム監督の初の記録映画で、遺作となった。
 原題は「ありふれたファシズム」。膨大な資料駆使するソビエトのお家芸とも言える記録映画であるが、従来のドキュメンタリーの概念を打ち破り、ファシズムの本質をスクリーンに描きだして、チャップリンの「独裁者」とも比肩される傑作である。
 ナチス・ドイツの残虐な行状を暴いた内容だが、"ファシズムとは、人間が思考を放棄した時に起こる"と語るロンム監督は、何百万フィートという世界各国の古いニュースや記録映画を収集。20世紀の埋もれていた歴史に光を当て、世界のあらゆる国にまたもファシズムヘの道が開かれていること、さらに日常生活にはびこるファシズム"ありふれたファシズム"を白日のもとに曝け出し、ファシズムの芽は誰にもひとりひとりの心の中にあることを明らかにしようとしている。
 なお、ロンム監督は、他に劇映画「No.217の男」(44)、「密使」(50)でやはリファシズムをテーマにしている。
 日本語解説版では、名優・宇野重吉がナレーションを担当し、その淡々とした語りが映像の残酷さを際立たせて、評判を呼んだことも忘れられない。

[あらすじ]
 第1次大戦終了後、カイゼルの帝国が崩壊、 ドイツ革命が起こり、民主主義がこの国にも根づくかと思われた。だがこの時、ファシズムは芽生えていた。ミュンヘン出身のアドルフ・ヒットラーがいつの間にか新しい政党を組織し、陰謀と犯罪を通して遂に政権を握る。ドイツ民族の団結心と連帯感を謳いあげ、パレードを繰り返すヒットラー。ドイツ国内の熱狂とともに、ナチス支配による第3帝国の時代がやってきた。ヒットラーは、総統らしく振る舞うため、涙ぐましい稽古を積む。
 科学も芸術もヒットラーの足下にひざまずき、書物は焼かれ、血の粛清が始まり、ユダヤ人は虐殺された。ナチスの聖書「わが闘争」の教義に忠実にドイツ軍は、ワルシャワ爆撃からソ連へ無警告攻撃、と四方に向かって電撃戦を開始した。ドイツ兵は、子供を抱く母を射ち、ソ連領内で残虐行為を繰り返す。
 ……冬将軍が到来しヒットラーは敗れた。ヒットラー最後の姿……
 だが、ファシズムも一緒に減ぴたわけではなかった。ナチスの生き残りだけではない。新たに生まれたネオナチがドイツ以外の国々でも蠢いている。現代の若者たちはもうファシズムの恐怖を知らない。もう一度、あのどす黒い歴史の一ページをふり返ってみなければならない……

[スタジオ/製作年] モスフィルム・1966年製作

[スタッフ]
製作:モスフィルム 1966年
脚本:ミハイル・ロンム
    マヤ・トゥロフスカヤ
    ユーリー・ハニューチン
監督:ミハイル・ロンム
撮影:ゲルマン・ラヴロフ

[ジャンル] 長編記録映画
[サイズ] 35mm / 自黒 / スタンダード
[上映時間]
2時間9分
[日本公開年・配給]
 1971/10/24・月の輪映画-日本海映画

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パンフレットソヴェート映画史−七つの時代
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