<- 作品検索 | ((・ Home Page ・)) | 他のパンフレット -> |
無断転載を禁ず | 「惑星ソラリス」パンフレット(1977年6月18日発行)より転載 |
● ブラウン管(会議室) ガヤガヤ言う声. 学者B「(静めるように)ちょっと, 聞いて下さい」 パートン「(報告を続け)小さな木 立ちとか生垣とかアカシヤとか小路 も見えました.これがすべて本物で はないんです!」 ● ブラウン管(ガラス張りホール) トラヒエ「(パートンに向かって) あなたが見たというその木や植物は 葉をつけていましたか?灌木です か?アカシヤですか?」 ● ブラウン管(会議室) パートン「いや,今言ったとおり, すべて石膏のようなものからできて おり,大きさだけが実物大なんです. やがてすべてにひびが入り,殴れ始 め,裂け目から黄色い泥が噴き出し てきました」 ● ケルヴィンの部屋 ブラウン管を見るクリスとアンナ. バートンの声「そして全体が強 くたぎり始め,泡に覆われました」 ● ブラウン管(会議室) パートン「(席に腰を下ろして)皆 さんもすべて納得がいくと思います. 時々カメラのシャッターを切ってま したから」 ● ケルヴィンの部屋 ブラウン管に眼を凝らすクリス. 視線を伏せるパートン. パートンの声「それまでと,そのあ とにわたしが見たものはすべてフィ ルムに収められているはずです」 学者Bの声「では話はこのくらいに して,すべてはこの眼で見ることに しましよう」 会議室のざわめき ● ブラウン管(委員長の部屋) 科学者たちの中にシェソノン委員 長がいる. シェンノン「じゃ,フィルムを見せ て下さい.大変面白そうですな」 ● ブラウン管(会議室) 書記がボタンを押す.部屋の明り が消えると,委員が各々席につく. ざわめきが静まり,中央スクリーン に流れる雲が映る.スクリーンに眼 を凝らす委員.一人が興味深げにス クリーンに近づいて行く. ● 会議室のスクリーンの雲と海 ● ケルヴィンの部屋 ビデオに見入るアンナとクリス. パートンはスイッチを切ろうとする が思い直す. ● 会議室のスクリーンの雲 ● ブラウン管(会議室) 笑いを浮かべるメッセンジャー教 授.ざわめきが広がり,灯がつく. メッセンジャー教授「これですべて ですか?フィルムはこれで全部で |
すか?」 書記「はい,全部です」 ● ブラウン管(委員長の部屋) シェンノン「(立ち上がって)しか しさっぱりわかりませんな.あなた は雲を撮った.どうして雲ばかり写 したのですか?」 パートンの声「これは多分――」 ● ブラウン管(会議室) ざわめきの中で,バートンは茫然 として椅子にかけている. パートン「わたしが報告した霧です. わたしにも,これは全く予想外です」 ● ケルヴィンの部屋 バートソ,立って,アンナとクリ スの後を歩いて行く. 学者Cの声「これはソラリスの海の 粒子線がパートンの意識に作用した 結果かもしれない.その海は現在判 明しているとおり、巨大な頭脳であ るだけでなく――」 バートン,ブラウン管の前を横切 る. 学者Cの声「思考能力を持った実体 でもあるのだ」 学者Dの声「しかし,その仮説は非 常に疑わしい」 ● ブラウン管(会議室) 席についているバートソ. カナダの学者の声「その日,あなた は具合が悪いような感じはなかった ですか?」 ● ケルヴィンの部屋 バートン「(足早にビデオに近づい てスイッチをいじり)この先は大し て意味がない.この辺からだ」 バートンの声「――窓から,海に何 か浮かんでいるものを見つけまし た」 ● ブラウン管(会議室) パートン「(報告を続けて)それは わたしにはフェフナーの宇宙服に思 えました.そして形が人間に似てい たのです.わたしはヘリコプターの 向きを変えました.そこを通りすぎ たら見失ってしまうのではないかと 思ったからです.その時,その姿が 少し浮きあがりましたが,まるで波 間を泳いでいるようであり,腰のあ たりまでつかって立っているようで もありました.その人は宇宙服を着 ていませんでしたが,動いていまし た(立ち上がり,興奮した様子で隅 の方に行く)」 ● ブラウン管(大理石のホール) チモリス「(びっくりした表情で) どういう意味かな?人間ですか?」 ● ブラウン管(会議室) パートン「(コップを手にして,部 民を横切りながら)そうです」 ● ブラウン管(ガラス張りホール) トラヒエ「(たばこを喫い始めて)ち |
ょっと待って下さい.その人の顔を 見たんですね?」 ● プラウン管〈会議室) バートン「(ふるえながら錠剤と水 を呑む)そうです」 ● ケルヴィンの部屋 クリス「(驚いてバートンを見なが ら)どんな人だったんですか?J ● プラウン管〈会議室) バートンは自分の席へもどる。 ポーランドの学者の声「それは誰で したか?」 バートン「赤ん坊でした」 アメリカの学者「どんな赤ん坊です か?今迄に見たことありますか?J バートン「いえ全然,何れにしても ――」 ● ケルヴィンの部屋 ブラウン管を見るアンナとクリス. バートンの声「こんな赤ん坊を見た 覚えはありません.わたしは近くま で飛んだとき,何となく気味悪さを 感じました……」 アンナ「(後にいるパートンに)どう いうことなの?J ● プラウン管(会議室) バートン「(報告を続け)わたしはそ れが何だか分りませんでした。だが その後すぐ,赤ん坊は背丈が4メー トルもあることに気づきました。赤 ん坊は,眼は青く,髪は黒でした」 ● プラウン管(委員長の部屋) シェンノン「(バートンに向かって) 気分が悪いんではありませんか?」 ● プラウン管(会議室) シェンノンの声「じゃ,会議は延期 しましょうか?」 バートン「(さっと立ち上がり,急 いで襟のボタンを外して)続けます. 赤ん坊は裸で,1生まれたばかりのよ うに,丸裸でした。そして濡れてい て,いや,すべすべしていました。 皮膚は輝やいていました。波に乗っ て上下するかと思えば,それとは無 関係に進んでもいるんです。 とても 無気味でしたJ ● プラウン管(ガラス張リホール) バートンに耳を傾けるトラヒエ. ● ケルヴィンの部屋 バートン「(ビデオに近づき,テー プを早送りしながら)すみません, 途中をとばします.あとはほんのわ ずかですから」 シェンノンの声「バートンによって 報告された情報は幻覚症状である. それは麻輝症候を伴う惑星大気の作 用によって引き起こされたものであ り,その麻輝症候は,大脳皮質の連・ 想城が興奮することで,起きるもの である」 ● ブラウン管(委員長の部屋) シェンノン「(委員会の結論を読み |
無断転載を禁ず |
||
服部美術館|チグラーシャ・クラブ|掲示板|通信販売|松本支局 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||