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無断転載を禁ず -P24- 「惑星ソラリス」パンフレット(1977年6月18日発行)より転載


る.そこで僕は君に話しておきたい
ことがある。そして警告しておきた
いこともある…….君はもう――」
● ブラウン管
ギバリャン「(椅子にかけたままで)
ステーションに着いたから,僕がど
うなったかお分りだろう.もし,知
らないとしても,スナウトかサルト
リウみがいずれ話すだろう.僕に何
が起こったかは――大したことでは
ないが――いや,クリス,それは説
明のつけようがないことなんだ.僕
が恐れているのは,僕の事件は発端
にすぎないということだ。勿論そう
あって欲しくないと思っているが,
同じことが君にも,あとの全員にも
起こり得る.ここでは,それは誰に
でも起こり得るのだ。僕の気が狂っ
たなどとは,どうか思わないでくれ
僕は正気だ.クリス,信じてくれ!
君は僕をよく知っているだろう.も
し時間があれば,なぜこうなったか
を話すよ」
● ギバリャンの部屋
 ギバリャンに聞き入るクリス.
ギパリャンの声「君にも同じことが
起こった場合のためにこんなことを
言うのだが,狂気などではない.重
要なことはね……,今後の調査につ
いてだが――」
● プラウン管
ギバリャン「僕は海のプラズマに強
力なレントゲン線を照射するという
サルトリウスの提案に賛成する。そ
れは禁止されていることを知ってい
るが,ほかに方法はない.もう我々
は,いや君たちは,泥沼に入り込む
ばかりなんだから.あるいは,この
方法がすべてをはかどらせることに
なるかもしれない……」
● ギバリャンの部屋
 聞き入っていたクリスは,戸日に
気配を感じ,急にビデオに近づいて
スイッチを切ろうとする。
ギバリャンの声「それが奇怪なもの
と接触する唯―のチャンスだ.ほか
に方法はないし,クリス,もし……」
 ビデオ,止まる. クリス,少しず
つ開きかかったドアに飛んで行き,
閉める。ビデオからカセットを抜き
とってポケットに入れる。驚いた表
情であたりを見廻すと,ドアの方へ
向かいながら,窓の方に眼をやる.
と,その窓には恐怖を感じさせる黒
い空間が見える.気を落ち着けるよ
うに,ため息を洩らすと,クリスは
机からピストルを取り上げ,戸日へ.
● 一階の廊下
 ドアが開き,クリスは廊下に出る.
スナウトの部屋の前でちょっと立ち
止まるが,思い直して歩き始める.
● 二階の廊下
 片側に円形の窓が並が廊下,配電
盤が傾いて立っている.クリス,廊
下を歩きながら窓を覗いて闇を見る.
ソラリスの暗闇が広がっている。ク
リス,実験室に近づき,ドアをノッ
クしながら――
クリス「あのう,サルトリウス博士
! ケルヴィンです。2時間前に着
きました。どうも僕を馬鹿にしてい
るようだが――開けてくれなければ,
ドアを破りますよ!」
サルトリウス「(ドアの向こうから)
よろしい! わたしが開ける.君は
部屋に入らないでくれ.わたしが出
て行く」
クリス「ああ,いいでしょう。(出
て来たサルトリウスに)ケルヴィン
です」
サルトリウス「(部屋を出ると,閉
めたドアの前に立ちはだかり)どう
も」
クリス「あなたはわたしのことをお
聞きでしょうが,わたしはつまり,
ギバリャンとは同僚でして……」
サルトリウス「それで?」
クリス「スナウトから聞きましたが,
ギバリャンが,死んだそうで」
サルトリウス「それじゃ,この話は
もうご存じなんですね」
クリス「ええ,恐ろしいことです.
詳細は知らないが,彼は死んでしま
った……」
サルトリウス「問題はそこにあるん
じゃない。我々もいずれは死ぬんで
すが…….ギバリャンは地球に葬っ
てくれと遺言しています.一体彼に
は宇宙は墓にならんというんですか
ね.ギバリャンは地球に帰りたがっ
た.わたしはそれを無視したかった
が,スナウトが固執してね」
クリス「あなたは前にバートンのこ
とを聞いたことがおありですか?」
サルトリウス「あのパイロットです
ね?」
クリス「ええ,フェフナー捜索に参
加しました」
サルトリウス「フェフナーは立派に
死んだ.ギバリャンは怖じ気づいた
んだ」
クリス「いまさら,ギバリャンを悪
く言うことはないでしょう」
サルトリウス「あなたはそんなこと
よりも,義務についてだけ考えるべ
きです」
クリス「誰に対しての義務ですか?」
サルトリウス「真実に対してです」
クリス「つまり,人間に対してとい
うことですね」
サルトリウス「あなたが探がしてお
られるところには,真実は見つかり
ませんよ。(海の見える窓の方を顔
で指し示しながら)つまりね……」
クリス「あなたのその気どりはおか
しいですよ! あなたの男気とやら
は残忍です! 聞いているんですか
?」
 サルトリウスの後のドアを押し開
いて,異常な小人が出てくる.サル
トリウス,慌てて小人を抱きかかえ,
部屋にもどす.
サルトリウス「(部屋に入り乍ら)も
う行ってくれ,あたしが見るところ
あなたは神経質すぎる.慣れなけれ
ばいけませんな! じゃ,元気で」

● ソラリスの海

● 二階の廊下
 クリス,洋服の襟をゆるめながら,
海の見える窓に近づく,手に鈴をつ
けた青い服の若い女が歩いて行く.
あとを追うクリス.
● 一階の直線廊下
 スナウトの部屋の前を通り過ぎ,
女は冷凍室のドアの中に消える.ク
リス,あとを追って入る.
● 冷凍室
 横たわるギバリャン,クリス,ギ
バリャンの亡骸を見て出て行く.
● 一階の廊下
 ピストルを手にしたクリスが,あ
在りを見廻しながら歩いて行く.
● スナウトの部屋
 スナウトが椅子にかけている.開
かれたドアから中に入るクリス.
クリス「サルトリウスと話しました.
が,彼はどうも俗っぼいタイプに思
えるな」
スナウト「サルトリウスは非常に優
秀な学者ですよ」
クリス「どうやら,わたしは少し病
気のようだ」
スナウト「(鉄を手に,手の織帯の
糸くずを切りながら)あなたは全く
健康ですよ,ただ忠告をよくきかな
かっただけです」
クリス「ステーションには我々三人
りほかに,まだ誰かいますか?」
スナウト「見たんですか?」
クリス「あなたはわたしに注意する
よう言って下さったが……一体何を
注意するのですか?」
スナウト「……誰を見たんですか?」

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