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無断転載を禁ず -P26- 「惑星ソラリス」パンフレット(1977年6月18日発行)より転載

ながら,鋏でハリーの服の背を切り
裂く.
ハリー「どうして,そんなに見てる
の?」
 クリス,いぶかしげにドアの前に
並べられた金属製の箱の方を見る.

● ロケット発射室
 投光器が点滅する。昇降機にスイ
ッチを入れるクリス.ハッチからゆ
っくりせり上がってくるロケット.
ロケットに近づくハリー.
クリス「(ロケットの入口を開き,
ハリーに)中に入れ!」
ハリー「あなたは?」
クリス「後から続いて行くよ.ハッ
チを閉めなければいけないから……
さ,OKだね?」
ハリー「(ロケットのなかに坐りな
がら)ええ,クリス!早く来てよ.
クリス!」
 クリス,ロケットの入口を閉じ,
打ち上げ装置にスイッチを入れる.
噴射上昇し始めたロケットを見上げ
るクリス.背後の閉まりかかった発
射室の扉を慌てて振り返る。扉閉じ
る.クリスはやむなく防護壁に隠れ,
石綿の敷物を自分の方に引き寄せ,
頭に被る.ロケットの噴射で床に火
が広がり,やがて下火になる。宇宙
服の火を消そうと,床を転げ廻るク
リス,発射室を離れるロケット.煙
が漂い,炎が残るロケット発射室の
床.

● クリスの部屋
 窓に,遠く消え去るロケットが映
る。くすぶる宇宙服を着たクリス,
浴室でシャワーを浴び,部屋に戻る
と,ハリーのケープが背にかかった
椅子に腰掛ける.ドアを開け,スナ
ウトが入ってきてクリスに近づく.
クリス「ノック位したらどうだ?」
スナウト「ここで誰かの話し声がし
たような気がしたんで……」
クリス「それなら,なおさらだ!」
スナウト「 <客> がいたのか?だい
がひどいことをやったようだな.ま
あいいさ.傷はじきに直るよ.しか
し初めは控えめにしたらどうだ?
いろいろな麻酔剤とか,毒物とか,
睡眠剤とかあるだろう? えっ?」
クリス「ふざけたことを言うつもり
なら,早く出て行った方がいい!」
スナウト「やりたくなくても,とき
には道化役をやらなきゃならならな
いこともあるさ.君が縄や金槌でた
めさなかったと言い張ってもダメだ
よ! ルーテルのようにインク壜を
偶然投げた,とでもいうのか? そ
うじゃないだろう?(笑いながら)
そうだ。やっばりそうだ! ワン,
ツー! ロケットに坐らせ,スイッ
チを押してやっつけたというわけだ
! この次は勇気を出して,廊下か
ら打ち上げスイッチを押すんだ。そ
のまま燃えつきてしまうぞ!」
クリス「(椅子にかけたまま)何があ
ったんだ?」
スナウト「(薬を持って来て,クリ
スの顔の火傷に塗りながら)知らな
いが,ある程度は想像がつくな.誰
が来ていたんだ?」
クリス「彼女は10年前に死んだのに」
スナウト「君が見たのは,君が彼女
について描いていた観念が物体化さ
れたんだ.名前は何というんだ?」
クリス「ハリーだ」
スナウト「すべては,我々がX線を
使って実験を行なったあとに始まっ
たんだ。海の表面にX線の強力なビ
―ムを作用させた」
クリス「(椅子から立ち上がり)しか
し,それは……」
スナウト「それに君は運が良かった.
その女性は君の過去の人だからな.
もし,君が全然知らない,考えつい
たり,想像したりしただけのものが
現われたら一体どうする?」
クリス「(地球から持ってきた金属
製の箱が置いてある窓の前で)しか
し,わからないな」
スナウト「海は明らかにその強い放
射に何か別のやり方で返答して来た
んだ。海は我々の脳髄を探査し,そ
こから,いわば記憶の一部分を取り
出したのだ!」
クリス「彼女は戻らないだろうか?」
スナウト「戻るか,戻らないか」
クリス「ふん,ハリー2号か!」
スナウト「コピーの数は無限かもし
れない」
クリス「何故,あらかじめわたしに
教えてくれなかったんですか?」
スナウト「君は信じなかったろうよ
!」
クリス「(顔の火傷の痕をさすりな
がら)わたしはうろたえて,ちょっ
と早まったかな?」
スナウト「気に病むな.ギバリャン
だけでたくさんだよ」
クリス「問題はステーションを閉鎖
するかどうかです.わたしはその間
題のために派遣されて来たんですか
ら.もしわたしが報告を書いたら,
署名してくれますか?」
スナウト「突然,海と待望の接触が
起きるんですかね?」
クリス「ここは夜の方がいいですね
? なんだか地球を思い出させるも
のがあるな」
スナウト「通風機に紙切れをつける
んだ.すると,夜,それが木の葉ず
れのように聞こえる.これはギバリ
ャンの発明でね.かれは全くすべて
に天才的だ.わたしもすぐやってみ
た。サルトリウスは僕らのことを嘲
笑したが,彼のところにも同じもの
がある.彼はそれを戸棚に隠してる
んだよ.君は休まなきゃだめだ.も
し来れるようになったら,あとで図
書室に来て下さい。本のリストを作
ってあるので(と出て行く)」
 紙切れで取り囲まれた通風機。そ
の下のベッドに眠っているクリスは,
眼を覚ますと起き上がってみて,再
び横になる.
クリス「スナウト,君か?」
 夜の闇.鏡の前の椅子にハリー2
号が腰かけている,椅子から立ち上
がり,服を脱ぎかけるが,思い直し
て机に近づき,鋏を取り,服の背中
を自分で切る.
ハリー「クリス,どこにいるの?」
クリス「こっちだよ」
 ベッドに起き上がったクリス,ま
た横になり,眼を閉じる。暗闇の中
を歩きながらクリスを探すハリー.
ハリー「暗いわね」
クリス「ここに来なさい。恐がるこ
とはないよ」
 クリス,自分の傍に身を寄せてき
たハリーを抱く.
● 一階の廊下
 ドアを開けて廊下の様子を眺め,
部屋に戻るクリス.ハリー2号の服
を抱えると再び廊下に出て,ドアを
閉める.中からドアを開けようと引
っぱるハリー.
クリス「(ドアの方へ飛んで行き)ハ
リー! ハリー! ドアはそっちへ
引くんじゃない,ハリー!」
 血まみれになって,呻き声をあげ
ながら,ドアを破って倒れるハリー.
ハリー「クリス! クリス!」
 ハリー,床に倒れ,クリスの足を
掴む.両手でハリーを抱え起こし,
部屋から持ってきたハリーの服を片
足で壁際の箱の後に突っ込むクリス.
● クリスの部屋
 ベッドにハリーを寝かせて,腕の
傷をみるクリス.
クリス「ハリー! ハリー!(締帯
を取りに浴室に行きながら)我慢す
るんだ.いま手当てするから!」
 クリスが戻ってくると,すでにハ
リーの腕の傷は殆ど癒っている.
ハリー「あなたがいなくなったと思
って,びっくりしたの」
 電話のベルが鳴る.受話器を取る
クリス.
スナウト「(電話で)やあ,クリス!」
クリス「ああ」
スナウト「(電話で)よく聞こえない
が,もっと大きな声で話してくれ!
いま何をしてる?」

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