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「ストーカー」(1981年10月31日発行)より転載
 2  かいせつ
「ストーカー」は、SF映画を語るうえでみ
のがすことのできない「惑星ソラリス」のア
ンドレイ・タルコフスキー監督2本日のSF
大作である。原作は、現在、ソビエトSF界
の第一人者であり、スタニスワフ・レムと共
に共産圏SFの代表的作家、アルカージーと
ポリスのストルガツキー兄弟(邦訳に「神様
はつらい」「収容所惑星」ほか)の「路傍のビ
クニック」。脚本も原作者自らの書き下ろしで
ある。
「惑星ソラリス」でも、タルコフスキー監督
の関心の的は理性ある海を持つ謎の惑星ソラ
リスの実体そのものにはなく、むしろ宇宙征
服に挑む人間の内面に向けられていたが、「ス
トーカー」でもそうした監督の態度に変りは
ない。そして、ここでもタルコフスキーは、
雨、水、火等、彼独得の映像言語を駆使し、
極端に少いカット数(「惑星ソラリス」の約半
分)で、この地上に忽然と現出した不可解な
ゾーンに――それは宇宙人の痕跡か、隕石の
落下かわからないのだが――禁を犯して踏み
こむ3人の男たちを通して、現代の苦悩と未
来の希望を探り、現代人の生き方を問いかけ
る。
 主役の3人は、タルコフスキー組とも云うべ
きアナトリー・ソロニーツィン(「アンドレイ
・ルブリョフ」以後全作品に出演)、ニコライ
・グリニコ(「僕の村は戦場だった」以後全作
品に出演)に加え、タルコフスキー作品には
初めてと云うアレクサンドル・カイダノフス
キーが演じる。音楽は、エドゥアルド・アル
テミエフが、タルコフスキー作品では「惑星
ソラリス」、「鏡」に引き続いて担当し、ベー
トーヴェンの”歓喜の歌”で、ラストの衝撃
的なシーンを盛り上げている。
なお、「ストーカー」は、監督自らが美術を
担当しているほか、前作「鏡」と同様に、父親
アルセニー・タルコフスキーや、19世紀ロシ
ア象徴派詩人フョードル・チュッチェフの詩
が度々挿入されている。
 観客にさまざまな解釈やうけとめ方をゆだ
ねるこの作品は、昨年、カンヌ国際映画祭の
呼びもの"シネマ・シュプリーズ"(覆面試写)
で上映されて以来、多くの話題を集めてきた
が、わが国でも多様な反響を呼ぶものとなろ
う 。
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