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「ジプシーは空にきえる」(1979年4月1日発行)より転載
作曲家エヴゲニー・ドガと
その音楽


エミーリ・ロチャヌー


 エヴケニー・ドガは、まるで海辺の貝殻のように、現代の音楽にとおい過去のこだまを甦らせてくれる。
 われわれ二人を結びつけたのは、モルダヴィヤ人の美意識や、詩想であると思います。そうした心情は、温和でやさしい気持と、大きく無限な世界とが混ざりあったものであり、われわれが子供のときに身につけたものなのです。その頃、祖父母は動植物を愛し、星や風や草木と同じ気持になることを教えてくれました。そのおとぎ話の世界は、子供心にただ一つ信頼できるものでした。ところが大人になってからは、日常生活にまぎれて、そのことを忘れてしまっているのです。ですが、真の芸術家は幼年時代の感覚を純粋に、濁りなく覚えていて、それを自分の作品のなかに伝えることができるではないでしょうか。
 わたしにはエヴゲニー・ドガはそういう人に思えます。かれは民衆音楽のたゆまぬ探求者であり、民謡の基本を、見事なポリフォニックな技法や多彩な器楽編成と華麗に結びつけていくのです。
 「ジプシーは空にきえる」は情熱と映像と音楽の集成と言えましょう。映画の精神は、何よりもまづ、かれの音楽の迫真力で決められました。
 われわれはまるで考古学者のように、ジプシー民謡の古い壼の素晴らしいかけらを集めてまわりました。ヴォルガやティッセの河畔で、カルパチや山麓、モルダヴイヤの高地、シベリヤやコーカサスでその貴重な小片を見つけました。自らの胸に古い歌を―ジプシーの生きた歴史を―大切にしている人々と出会ったのも幸いでした。
ドガとロチャヌー監督
 映画には大きなシンフォニー構成、コーラス、ギターの合奏があります。それは多彩な万華鏡のような音楽の画布が一つの息吹きになっているようです。
 この映画音楽は単一的でもあり、物語的にもなっています。道のテーマと愛のテーマが広く展開され、そこにはリリシズムもグロテスクな味わいもあります。具体的なフォークロアの形式は叙事詩的な普編化に変っているのです。
 「ジプシーは空にきえる」の音楽は、“美しきものと地上の哀しみのためのゆりかご"と言えましょう。
 エヴゲニー・ドガ 1937年、モルグヴィヤ共和国に生れる。高等音楽院でチェロを学んでのち、作曲科に進んだ。作曲活動のかたわら、音楽理論の著作も発表しており、映画音楽は「門番が必要です」(1967)が第一作。劇映画、記録映画、マンガ映画など30本の映画に作曲をしており、「セラフィームの家」(1973)のワルツはいまもテレビやラジオで演奏されている。エミーリ・ロチャヌー監督の「狩場の悲劇」(1978)が最新作。
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