<- 作品検索 ((・ Home Page ・)) 他のパンフレット ->
「火の馬」(1991年4月26日発行)より転載
前はもうすぐ、パラグナと結婚する
んだ。いつまでも妻として手もとに
置いてやるんだよ」
第二の女「手拭を持ってきておく
れ、そして、イワンをよく拭いてお
くれ。そうしないと、イワンはパラ
グナのとこへ行く気にばっかりなっ
ているのだもの。イワンをよく洗っ
てやって下さい」
第一の女「そうら、こうして、よー
く拭いてあげよう。立派に着物を着
せてあげるよ。パラグナのところヘ
行って、幸福に暮らすんだよ。私達
の所にも遊びに来るんだよ、そー
ら、できた」
 女の人が、斧のひと振りで赤いリ
ボンのゆわえてある樅の木を切る。
 イワンはよそ行きの衣服を着て新
しい袋をかついで家を出ていく。
谷間にかかる九本橋
 四人の老婦人が入口の所でイワン
を見送っている。
「細い丸木の橋を
  若い娘が渡ってくる
  広い野原を あちこち見廻して
  恋人が来るのを待っている
  贈り物を持ってくるのを待って
  る」
 老婆たちは、イワンの後姿に祝福
してやり、十字を切っている。

 イワンが川を渡る。
「赤い靴が 赤い靴が
  歩いていく
  仕事は 仕事は
  どんどんはかどっていく」
 向こう岸の屋根から遠くを見てい
た女の子が叫ぶ
女の子「来るわよ!」
 女の子、かくれる。
 イワンは垣の中をうかがい見、物
音を聞くようにしてパラグナの家の
そばを通っていき、垣の入口から中
に入る。
パラグナの家
 パラグナの家の前の庭。
 牛が一頭、繁がれている。ハレル
ヤの歌が聞こえる。人々の一方にま
ずおじぎをし、次に、他方におじぎ
をする。
 正面から親せきの四人の女が出て
きて、イワンを迎え、あいさつす
る。
 イワンは結んだ布を差し出す。二
人の女は、その結び目を解き、残り
の二人がイワンの腕をとって部屋の
中に招き入れる。
 パラグナの家の中、人々が座って
いる。戸口でイワンが低く頭を垂れ
る。
「細い丸木の橋を若い娘が 渡っ
てくる
 老婆がトランクからきれいなビー
ズの首飾りと十字架を出してトラン
クの蓋をしめる。
 別の女がイワンに手拭で目かくし
をする。
「広い野原をあちこち見廻し恋人
  の来るのを待っている」
 二人の女がイワンの腕をとり、導
いていき、トランクに腰掛けさせ
る。
「恋人の来るのを待っている
  贈り物をもってくるのを待って
  いる」
 二人の老婆が目かくしをされたパ
ラグナの手を引いてきて、イワンと
並んで腰掛けさせる。
「赤い靴が 赤い靴が
  歩いていく
  仕事は 仕事は
  どんどんはかどっていく」
 人々は出ていく。
 男が恭々しく、首枷を二人の首に
かける。
 部屋の中に、イワンとパラグナだ
けになる。
「赤い靴は、町で作られ
  この田舎ではかれている」
 イワンとパラグナの足もとに、二
人にはめられていた首枷が落ちる。
 パラグナがまとっていた綾織の布が
足もとに下ろされる。
 イワンの手がパラグナの下着を引
きあげ、脱がせる。
 パラグナがイワンの方を向き、驚
いた表情で見つめる。
 イワンの手がのびて、パラグナの
首の、サンゴの首飾りの細い糸をち
ぎる。イワンの掌が開き、その手か
らサンゴの玉が転げ落ちる。

タイトル「仕事日」

草 原
 鎌を研ぐイワンの手
 広い草原でイワンが草を刈る。集
めた草の堆積をパラグナが踏み固め
ている。
 なお高く草を積みあげるイワン。
 草の堆積の上からパラグナを引き下
ろすイワン。そのまま、身をすり寄
せるパラグナ。
 パラグナ「イワン!」
 イワン、握ったパラグナの手を引
き離すようにして水辺に歩いて行
く 。

タイトル「祭 り」

イワンの家の近く、冬
 さまざまな奇妙な仮面の人の列が
続く。仮面のイワン立ち止まる。白
銀の景色にマリーチカの墓と、傍に
鹿の姿が見える。
イワンの家の前
 中庭で仮面の列が輪になって踊っ
ている。列は各々、家の中へ入って
行くが、ひとり男が引き返してき
て、残っていたパラグナを雪の上に
引き倒す。中庭の入日に戻って来た
イワンが立っている。
パラグナ(イワンに気づき)「イ
ワン!」
 人形を持った奇妙な姿のヒムカが
中庭に出て来る。
ヒムカ「イワン、私の子供はどこ
にいるかえ?パラグナ、私の子供は
どこにいるのかえ?間違いをしでか
したんだよ!ハハハ」
 ヒムカ、遠くへ去っていく。
 男、マスクを取る。隣家の、モリ
ファル・ユーラである。
 ヒムカの声がかすかに聞こえる。
ヒムカの声「間違いをしでかしたん
だよ、私の子供が!ハハハ」
 イワン、家の中から出て来て牛や
羊に餌をやる。
 イワン、跪いて祈る。
イワン「妖術師、占師、湯死人、悪
霊よ、皆さんを御招待いたします。
御馳走もあります。蜂蜜酒も召しあ
がって下さい。お前達が二度と再び
現れないように、お祓いをする。消
えてしまえ!」
パラグナの声「イワン、夕御飯が出
来たわよ!」
家の中
 聖像の前に晩いてイワンとパラグ
ナがお祈りをしている。
イワン「父と子と聖霊の名におい
て、アーメン!」
パラグナ「父と子と聖霊の名におい
てアーメン!」
イワン「神様!」
イワン「お許し下さい」
パラグナ「お許し下さい」
イワン「行先知れずに死せる霊よ」
パラグナ「行先知れずに死せる霊
よ」
イワン「路上で傷ついた者よ」
パラグナ「路上で傷ついた者よ」
イワン「水に溺れたる者よ」
パラグナ「水に溺……」
 パラグナ、イワンの方を見る。
パラグナ「溺れたる者よ」
 イワンは悪霊を払い除けるかの様
に肩ごしに息、を吹きかける。
イワン「水に溺れたる者よ」
 パラグナも悪霊を払い除けるかの
様に、肩ごしに息を吹きかける。
イワンとパラグナ、降誕祭の御馳
走の前に腰掛けている。十字をき
(14)
「火の馬」パンフレット(1991年発行)より転載 <- 前へ 次へ ->
HomePageソヴェート映画史−七つの時代資料館
服部美術館チグラーシャ・クラブ掲示板通信販売松本支局
広告 [PR] にきび  わけあり商品 資格 再就職支援 無料レンタルサーバー