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「火の馬」(1991年4月26日発行)より転載
る。
 イワン、自分のグラスに酒をつい
で呑む。もう一杯呑み千す。
 イワン、パラグナにも注いでやる
が、彼女は飲まない。
 そこで、イワンは酒びんと食器を
手に持って部屋を出ていく。
 パラグナ、不機嫌そうに独り残
る。
 イワン、酒びんと食器を窓のふち
に置く。

 天使の羽根をつけた子供が四人、
家の中に入ってきておまじないをと
なえる。
 豚の子をだいたイワンも、子供達
と一緒に唄いはじめる。
「汚れ無き乙女が
  子供を生みたまい
  馬小屋の中に入れたもう
  神の子は馬と共に
  眠りたまえり」
イワン「パラグナ、私の山羊は何処
へ去った」
「天使は神を讃えて
  歌いたまえり」
 子供達去る。
イワン「私の山羊はどこへ去った?」
 歌の調子でくちずさむ。
   「私の山羊はどこへ行った
    私の山羊はどこへ行った
    私の山羊はどこへ行った」

 パラグナ、御馳走の並んだ机に布
を掛けている。
 イワンが机の傍を通って寝台の方
へいく。
 パラグナがイワンの側へ行って衣
物を脱ぐのを手伝ってやる。
 イワン、寝具の上に横になる。
 窓ガラスにマリチコの幻影。
 イワン起きあがる。
イワン「(彼女が)来た!」
パラグナの声「え?」
パラグナ「誰もいないわ、おやすみ
なさい!」
パラグナ、身にまとっていた布で
窓をふさぐ。

タイトル「生活はこのように過ぎま
     した…。仕事に明け暮れ
     る日々と、呪いの祭日と
     …」

タイトル  「明日は春」

タイトル「神は二人に子供をお授け
     にならなかったのでパラ
     グナは呪いをした…」

窓の被いを開く手。
 花をつけたリンゴの枝。
 パラグナがトランクの蓋を開い
て、首飾りとアクセサリーを取り出
す。パラグナは衣類を戸口に脱ぎ捨
てて、家を出る。
夜明けの草原
 パラグナ、垣根のそばを呪いをし
ながら通り、草原を歩き続ける。
 木の下に止まり、膝まづいてお祈
りをする。
 川の中で馬を洗っていたユーラが
パラグナのその様子を見ている。
パラグナ「神様、お願いです。どう
ぞ、もう一度イワンの愛情を私に戻
して下さい。私に健康な男の子か女
の子をおさずけ下さい。神様、どう
ぞ子供をおさずけ下さい。(振り
返って)ああ何を見てたの?見な
かったの?」
モリハル・ユーラ「パラグナ、お前
のようにきれいな女は未だ見た事が
無かったよ、ほんとうだとも」
パラグナ「どきなさいったら!」
 パラグナがモリハル・ユーラの手
を振り切って走り去る。
 ユーラ、彼女の後姿を見送ってい
る。
 パラグナ、棚のそばを通って駆け
ていく。ちょっと立ち止まり、あた
りを見廻しながら走る。
イワンの家の前
 イワンが庭に倒れている羊の様子
を見ている。
 パラグナが庭に戻ってくる。
 脱ぎ棄てた白い布をとって家の中
にいったん駆け入る。衣服を来たパ
ラグナ、すぐに出てくる。
イワン「おかみさん、どこへ行って
た?どうだい、この損害は」
ヒムカ(中庭に出て来て)「イエス
・キリスト様に栄光あれ(十字を切
る)。父と子と聖霊の名において
アーメン!ハハハ」

タイトル 「悪の力」

タイトル「人々は彼のことを神のよ
     うだと噂していた。彼は
     皆に恐れられていたが、
     必要ともされていた…
     …」

雷鳴のなりひびく森の中
 草むらの棚の側に横たわるパラグ
ナ、ドビナを吹いている。
モリハル(呪文をとなえる)「黒雲
よ、雷鳴よ、暴風よ、儂はお前達を
降伏させるのだ!儂は、お前達を森
林地帯へ、河へ追いやるのだ。お前
達はこの土地では無力だ!無力なの
だ!」
モリハル「無力なのだ!」
モリハル「無力なのだ!」
モリハル「無力なのだ!」
 繁がれた.馬が驚いていななき、走
り出そうとする。
モリハル「無力なのだ!無力なのだ

パラグナ「ああ」
 雷鳴の中をパラグナ、牛を追って
いる。
 モリハルが,馬を走らせる。
モリハル「消え去るのだ!消え去る
のだ!馬のいななきも聞こえず、鳥
も飛んで来ない森や野原の方へ去っ
てしまえ!」
 馬が駆けていく。
モリハルの声「消え去るのだ!消え
去るのだ!」
 パラグナが牛を追っている。
 馬が駆け抜けていく。
 パラグナ、止まってあたりを見
る。
 馬が走る、雷鳴、稲妻。
 モリハル、馬を駆っていく。
パラグナ「ユーラ!」
 パラグナの顔を稲妻が照らす。
 手で顔を覆うパラグナ。
 雷に打たれた.馬が地に落ちる。
パラグナ(振り返りながら)「ユー
ラ!何ともありませんでしたか?」
 モリハル、地面にあお向けに倒れ
ている。
 モリハル、パラグナの方へ自分の
手を差しのべる。
モリハル「何とも無いよ、パラグ
ナ、儂は暴風を追っ払ったのだよ!
さ、儂のところへ来給え!儂は、静
かにしていたいのだ!あ!」
 パラグナがモリハルと並んで横に
なる。
パラグナ「ユーラ!あ!」
 モリハルがパラグナの顔を彼女の
スカートをまくりあげて隠す。
 雷鳴、稲妻。落雷の音、大木が燃
えさかる。

タイトル「居酒屋」

出稼人の声「イエス様に栄光あれ!」
 主人が投げこまれた羊の皮を受け
取って、奥に入る。
主人「永久に神に栄光あれ!」
 その奥からウオッカを持った子供
が出てきて売台に置く。もう一人の
子供が魚の尾をつかんで客に進め
る。
店の子供―「おじさん!」
店の子供二「おじさん!」
 机には二人の男がかけている。
 もう一人の出稼人が反対側に腰か
ける。
(15)
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