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 チェーホフ歿後100年レトロスペクティヴ > 小犬を連れた貴婦人 > ものがたり/スタッフ&キャスト
●ものがたり
 ドミートリー・ドミートリッチ・グローフはクリミヤ半島の避暑地ヤルタでの二週間、毎日同じような日を送り、そろそろ退届になり始めていた。ある日、いつものように海岸通りの喫茶店にいた彼は、店の前を通る美しく上品な"犬を連れた貴婦人"と出会い、心を奪われる。
 しばらくして、グーロフは、公園のレストランで彼女と言葉を交わすことになった。彼女の連れている犬に自分の皿に残っていた骨を差し出したところ、催促するかのように吠え立てたのである。その声に驚いた彼女は振り向いて言った。「噛みついたりしませんのよ」
 このことが二人を近づけた。食事がすむと二人は海岸に向って歩き出した。海の水は静かにゆれ、月の光りに映えて美しかった。
 二人は自分たちのことを語り合った。グーロフは、モスクワに住み、かってはオペラ歌手になりたいと思い歌やピアノを習ったこともあった。大学は文学部を出たが、今は銀行に勤めている。
 彼女の名はアンナ・セルゲーエヴナと言った。ペテルブルグで育ち、サラトフ市へ嫁ぎもう2年になる。ヤルタにはあと1ヵ月位滞在する予定で、夫も後から来るという。
 幾日かが過ぎた。二人の親しさは日毎に増して行った。アンナの夫がヤルタへやって来るという日、彼女は波止場に出迎えに行った。しかし、夫は現れなかった。遠くからその様子を見ていたグーロフは、アンナを慰めるよう波止場のかげに呼び寄せると、いきなり抱きしめて接吻した…
 アンナの部屋は蒸し暑かった。アンナは自分がひどく堕落したかのように思え、瞳から涙が溢れた。外に出た二人は辻馬車で海辺ヘ向かった。ヤルタの町は朝霧を透してかすかに見え、山の頂きには白い雲がかかっていた。2人はこれまでの人生で見たことのないほのかな光を感じたのだった。
 やがてアンナは、夫が待つサラトフに帰って行った。一方、モスクワに戻ったグーロフはアンナのことが忘れられず、妻にはペテルブルグへ行くと偽ってサラトフヘと旅立つ。劇場の片隅で再会した二人は、熱い口づけを交わす。
 それから恋情抑えがたいアンナがモスクワにグーロフを訪ねたのは、大きな雪片の舞う冬の日であった……

■スタッフ
原作:A・P・チェーホフ
脚本:イオシフ・ヘイフィッツ
監督:イオシフ・ヘイフィッツ
撮影:アンドレイ・モスクヴィン
    D・メスヒーエフ
美術:B・マネヴィチ / I・カプラン
音楽:ナジェージダ・シモニャン

■キャスト
ドミトリー・グーロフ:アレクセイ・バターロフ
アンナ・セルゲーエヴナ:イヤ・サーヴィナ
グーロフの妻:ニーナ・アリーソワ
アンナの夫:D・セヴロフ

レンフィルム1960年製作 スタンダード / モノクロ 1時間30分


チェーホフ没後百年記念祭実行委員会編著 東洋書店刊 現代に生きるチェーホフ
服部美術館特別展[チェーホフ歿後100年レトロスペクティヴ]を描く
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