自分の目で生活を見つめるようになったとき、明日という日は特別の意味を持ち始める。1880年代のロシア。ワーニャは姪のソーニャと共に、死んだ妹の領地を管理し、収入のほとんどをその妹の夫セレブリャコフ教授に送ってきた。
だが、セレブリャコフが退職して、若く美しい後添いのエレーナを伴って田舎の領地に帰ってきてから、ワーニャの生活は一変する。これまで、セレブリャコフ教授はワーニャの人生の全てだった。だが、帰郷した老教授を目の当たりにすると、彼が他人の思想を語るだけの何の才能も功績もない人物だったことを思い知らされ、ワーニャは自分が教授の学問のために捧げた青春が無意味であったことを悟る。
老教授への憎悪と羨望に心をかき乱されるワーニャは、酒で憂さをはらそうとする。そして、かつて愛していたエレーナに再び、情熱を燃やす。
一方、ソーニャは、田舎で黙々と働きつづける医師アーストロフに思いを寄せていた。ところが、ソーニャの密かな思慕を知ったエレーナは、アーストロフを熱愛してしまう。
傷心のワーニャに、老教授が新たに別荘を買うために領地を売却することを提案する。怒りと絶望で発狂せんばかりになったワーニャ。その報われぬ心を暖かく包んだのは失恋の痛手にあったソーニャだった…
ワーニャ…………インノケンティ・スモクトゥノフスキー
アーストロフ…………セルゲイ・ボンダルチュク
ソーニャ………イリーナ・クプチェンコ
エレーナ………イリーナ・ミロシニチェンコ
セレプリャコフ………ウラジミール・ゼリージン
モスフィルム・1971年製作
原作:アントン・チェーホフ
脚本・監督:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー
撮影:ゲオルギー・レルベルグ
エフゲニー・グスリンスキー
美術:V・ラッポポルト
音楽:アルフレッド・シニートケ
1972年サン・セバスチャン国際映画祭銀賞 |