サンクト・ペテルブルグを巡る映画紀行>歴史と文化の都…>第1次大戦

 この映画は、帝政ロシア最後の王朝、ロマノフ家のニコライ2世とその一族の最期を、壮大なスケールで描く歴史的超大作です。そして、彼らの弱みに巧みに取り入り、権力とあらゆる欲望をほしいままにした預言者・妖僧ラスプーチンの実像を、鋭く描破しています。
 1916年。第1次大戦の敗退によつて、ロシア国内には経済的破綻と飢餓がはびこり、民衆の帝政に対する不満は、各地に頻発する暴動となって爆発しました。そして政府軍は、帝政打倒を叫んで高揚する民衆を弾圧し、虐殺しました。いわゆる「流血のニコライ」と呼ばれたニコライ2世は、本質的にはその異名とはかなり違って、気の弱い趣味人でした。そして多難な政局を収拾する気迫と能力に欠け、重臣たちの献言と、ラスプーチンの"神のお告げ"を盲信する皇后アレクサンドラ達とのはざまで思い悩み、現実から逃避していったのでした。
 各地を放浪していた、神がかり的な修道僧ラスプーチンは農民出身で、文盲でもありましたが、ある種の霊感を持って、皇后とそれを取り巻く女狐たちに巧みに取り入り遂に国家の命運を分けるような、絶大なる権力を持つに至りました。
 ドラマは、この「流血のニコライ」と、強大な権力を得たラスプーチンの実像に鋭く迫り、皇后アレクサンドラ、ヴィルボワ公夫人、そしてラスプーチンを抹殺したパヴロヴィッチ大公、ユスーポフ公爵らに焦点をあて、格調高く当時を再現しています。権謀渦巻く宮廷政治の中、徐々に腐敗していく貴族社会、金を操る者たちの厚顔無恥等を力強く、鮮明に描き出します。また時代背景をリアルに表現するため、当時のニュースフイルム、記録フィルムが見事に挿入され、迫真力のある画面は、新しい時代の息吹きが大きくなっていく経過を明らかにしています。
 帝政ロシアの象徴であった、皇帝ニコライの一族、そして、その取り巻きにも迫り来る死の気配、彼らは、その中に予感される新しい時代の到来に、貴族社会の終末を感じ取り、将来に恐怖と不安を抱きながら、神や奇跡への盲目的な信仰へと逃避していきました……。
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