▲「ストーカー」
カラー/2時間40分
モスフイルム1979年製作
脚本:アルカージー・ストルガツキー
ボリス・ストルガツキー
監督:アンドレイ・タルコフスキ一
撮影:アレクサンドル・クニャジンスキー
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ
美術:アンドレイ・タルコフスキー
詩 :フョードル・チュッチェフ
アルセニー・タルコフスキー
出演:アレクサンドル・カイダノフスキー
アリーサ・フレインドリフ
アナトリー・ソロニーツィン
ニコライ・グリニコ
DVD=RCCF-1002 \5,800
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この映画では何も起きません。まるで電車ごっこにでも興じているかのような三人の男たちが必死に歩いて行くだけです。SF映画らしいメカニックも見せ場もありません。しかし、1カット、1カットがタルコフスキーの世界。タルコフスキー信者はもう現世に戻れません。是非、フィルムの大画面で見ていただきたい作品です。
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そして、アンドレイ・タルコフスキー監督の「ストーカー」では、「円」は「円筒」となって登場します。それは、水が滝のように流れる「乾燥室」という皮肉な名で呼ばれるトンネルや、「肉引き機」と呼ばれる恐ろしいパイプだったりします。
人間の願いを叶えてくれるという禁断の場所「ゾーン」。その中心部に向かう三人の男たちは、ナットを結んだリボンを放り投げては、目には見えぬ道を進んで行きます。三者三様の想いを秘め、二度と同じルートは辿れないという、その行く手にトンネルやパイプがあるのです。
トンネルを通り抜け、パイプをくぐり抜けるたびに、男たちは欲望をむき出しにし、本心をあらわにして行きます。「円筒」が人間の外套を剥ぎ取り、単純にしてしまうかのようです。ここでは「円」は純粋化を促すもののようです。
東洋思想に共感を示し、宗教的とも思えるタルコフスキーの哲学は「円」を浄化のシンボルと見たのでしょうか。魂の救済を訴え続けながら、病魔に没したタルコフスキーが欲したものは「円」の力だったのかもしれません。
冥界のタルコフスキー監督に「茅の輪」を捧げたいと思います。
カラス除けのCDに始まった今回の「円」との縁。しかし、とんと縁がないのは「¥」。ルーブルで貰っても困るので、ドルでも降ってこないものでしょうか?なんとかなりませんかね〜「円」!
今回はこれにて、ジ・エンド。 |