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ロシア映画社・西日本 2003年6月

れた日は菜園をし、の日は画に想いを巡らす
明治・大正期に日本で公開されたロシア映画

1910〜11年

 さらに時代が下って1910年代に入ると、フランス映画での連続活劇の流行が日本にも伝わり、「ジゴマ」が空前の大ヒットとなりました。また、スペクタクル史劇でイタリア映画が世界市場に参入し、文学青年を唸らせる芸術映画のデンマーク、さらにドイツと映画の世界地図は拡大していきます。映画をそれまでの見世物としてではなく、ひとつの独立した芸術として捉えようとする人たフランス映画「ジゴマ」(1911年エクレール社製作 ヴィクトラン・ジャッセ監督)ちも現れ、徐々に記録が整備され始めるようになります。
 この時期のロシアと関係ありそうな作品を拾ってみましょう。

1910年(明治43年)
シベリアの雪
 横田商会提供
 原作:レフ・トルストイ
 1910/2/15富士館封切
 ロシア映画「復活」の日本公開題名。
 翻案の劇映画「復活」(吉沢商店提供・佐藤歳三主演)が同年6月1日美音館で封切られています。
 この頃、女優の松井須磨子に人気があったようで、後に芸術座の公演「復活」で彼女が歌う「カチューシャ可愛や」の歌にあやかって、1914年(大正3年) 10月 日活が「カチューシャ」を製作しています。この大流行は世相史に1ページを残しています。
*「芸術座」という劇団名は「モスクワ芸術座」の名称を拝借したものとか。


1911年(明治44年)
トルストイ伯爵 葬儀の実写
 横田商会提供
 1911/1/15富士館封切
 実写

アンナ・カレーニナ
 Anna Karenina
 吉沢商店提供
 露・パテ作品
 原作:レフ・トルストイ
 出演
  E・A・ソロクティナ
  M・ワシリエフ
  M・トロイアノフ
 1911/4/1錦輝館封切


美しいゲイシャ
 Le Fine Della Geisha
 仏・パテ作品
 横田商会提供
 1911/6/1富士館封切
 日露戦争で捕虜となったロシア軍の将校と日本の芸者の悲恋。将校は芸者をロシアに連れて帰るが、本国の妻のために彼女は捨てられる。


異郷の露
 The Geisha-garl at Moscow
仏・パテフレール作品
横田商会提供
1911/6/1富士館封切
"日露戦争をモチーフにした作品。外国の会社の撮した最初の日本劇。"

 と、記録されていますが、上記の「美しいゲイシャ」と封切がまったく同じため、同一の作品ではないかと思われます。あるいは、「異郷の露」の内容が「美しいゲイシャ」で紹介されている粗筋で、「美しいゲイシャ」は日本の芸者を紹介した実写のようなものであったのかも知れません。いずれにしても、この作品はロシアではなくフランスで製作されたものだろうとは思うのですが、ロシア人と日本人との悲恋ということで取り上げてみました。後に早川雪洲がフランスで主演した「ラ・バタイユ」(1923)も日露戦争をモチーフにした悲劇でした。日露戦争は、"黄金の国ジパング"から脱した近代日本感を伝えた、欧米列強へのデビュー戦だったのだと、あらためて感じさせてくれます。

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