1月4日(土)
この日のコンクール上映作品は、フィンランドの「ROLLI」(2001年 Olli Saarela監督)と、ロシアの「ВОВОЧКА」(2002年 ИГОРЬ МУЖЖУХИН監督)。ロシアのムジュジューヒン監督は、1962年生まれで、俳優、テレビ番組のアンカーマンとしても活躍しており、自ら脚本も書いたこの作品が、長編劇映画の監督デビュー作。
夜は、ネーヤ・ゾールカヤさんをお招きして飲む。ゾールカヤさんは、2000年の10月、扇
千恵さんと「ソヴェート映画史 −七つの時代−」の翻訳のうち合わせのために来日されたが、忙しい日程にもかかわらず、ロシア映画社にお越しいただいた。この時、女史は、ご持参のウォッカでスタッフを激励してくださった。しかし、これがお強い!我々も酒豪をもって自認する積もりだが、ウォッカ責めでスタッフ全滅となってしまったのだった。
1924年のお生まれ。ソビエト時代には共産党を除名され、20年近く後に名誉を回復されたという経歴をお持ちである。穏やかに、にこやかに杯を重ねられるが、苦しい時代を生き抜いてこられた精神力は並大抵のものではなかろう。来日された時、お寿司をお気に召して、美味しそうにされていた様子を思い出しながら、いつまでもご健康で、と祈らずにはいられない。
夜も更けて、ゾールカヤさんを白タクでご自宅までお送りした。白タクはモスクワ名物の感があって、観光書などでは、危険なので利用しないこと、などと紹介されている。確かに、法外な金額を請求された、とか、身包み剥がされた、などということもあるらしい。観光ではじめてロシアを訪れた方にはお勧めできるものではない。しかし、我々にとっては、これもモスクワの重要な移動手段である。ロシア人の暮らしぶりを垣間見ることもできる。
モスクワ市内の道路でヒッチハイクのように手を上げれば、タクシーでもない車が止まってしまう。そこで、助手席を開けて値段を交渉。ごく普通の一般のドライバーが、即座に白タク営業、となってしまうのだ。我社のスタッフによれば、ソビエト時代、共産党幹部の専用車や救急車の白タクに乗ったことがあるという。現代でもベンツやクレムリンに出入りしているとおぼしき車の白タクに出くわした、という話を聞く。体制が変わっても同じなのだ。これは、何かして小銭に稼ごうという逞しい商魂とも受け取られるが、ロシア人のおせっかいな気質もあるのだろうと思う。まあ、筆者に限って言えば、酔った勢いで大判振る舞いしているかもしれないので、いいカモなのかもしれないが…
ホテルに戻って、バーでホット・ウイスキーを注文した。作り方が解らないと言うので「ウイスキーにお湯を入れてくれ」と頼んだ。こちらは、喉を通る程度のお湯をイメージしていたのだが、出てきたのは熱湯割りだった。2杯目注文の時、「熱すぎたので、少し温い程度にして」と言ったところ、1杯目と同じ熱湯割りに加えて氷を持って来た。なるほどと感心。ホット・ウイスキーのオン・ザ・ロックを初体験したのだった… |