[「ソビエト映画の全貌91」パンフレットより転載]
[かいせつ]
1974ロカルノ国際映画祭名誉賞
原作はカザフ共和国の科学者で作家のムフタル・アウェーゾフの短篇小説「灰色の恐しきもの」。A・ミハルコフ=コンチャロフスキーが脚色にあたり、自然と人間との関わりをテーマにした記録、劇映画で高い評価を受けているキルギスのオケーエフ監督が、革命前のカザフの山村を舞台にそこに生きる遊牧民の生活を、少年と野性の狼との交流を描いた作品である。
主人公の少年クルマシにはカザフの小学校4年生のカムバル・ワリェフが扮して好演。キルギス映画の人気スターで黒澤明監督作品「デルス・ウザーラ」にも出演したシュイメンクル・チョクモロフがアハングルを演じて1974年全ソ映画祭で主演男優賞を得ている。 |
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[あらすじ]
革命前のカザフの山村。6歳のクルマシ少年は遊牧民の子。彼には両親がおらず、優しいおばあさんと乱暴者の伯父アハングルと3人で暮らしていた。或る日、少年は伯父に連れられ狼退治にでかけた。そして、伯父が殺しそこねた一匹の狼の子を拾うと家で飼うことにする。両親の愛に恵まれなかったからか、少年は全存在をかけて、この小さな猛獣を愛した。だがアハングルは「狼は犬とは違う」と言ってさかんに狼をいじめる。そしてクルマシには「厳しい自然を生き抜く為には獣の哲学が必要だ」と子供心に弱肉強食の自然の摂理を教え、憎悪や残酷さを説いた。強い反発を覚えるクルマシ。
……結局、狼は人々を見捨てて、何処かへ消えてしまう。少年も後を追って家を出る。彼は、一人、山に入って「かつての親友」を捜し続けた。……そして遂に少年と狼は再会を果たす。しかし、すでにこの時、狼は野性の本能を取り戻していて、クルマシに鋭い牙を向けるのだった……。 |
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[スタジオ/製作年] カザフフィルム・1973年製作 |
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[スタッフ]
原作:ムフタル・アウェーゾフ
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー
エドゥアルド・トロピーニン
監督:トロムシ・オケーエフ
撮影:カドィルジャン・クィドィラリエフ
美術:ヴィクトル・レドネフ
音楽:ドゥンチェンバイ・ボドバーエフ |
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[キャスト]
クルマシ:カムバル・ワリエフ
アハングル:シュイメンクル・チョクモロフ
おばあさん:アリムジャン・ジヤンゴロゾワ |
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[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / カラー
[上映時間] 1時間35分
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