スタッフ キャスト スタジオ 解説 ストーリー 諸元 スチール ポスター/チラシ

自由はパラダイス
СЭР

[「ソビエト映画の全貌91」パンフレットより転載]

[かいせつ]

1989年モントリオール国際映画祭グランプリ
1990年ベルリン国際映画祭ヤング・フォーラム〈ウォルフガング・シュタウテ〉賞

 「自由はパラダイス」は舞台が特別養護学校(少年院)と監獄、主人公は非行少年と囚人と、いかにもペレストロイカ時代の所産と呼べそうな、これまでのタブーに挑んだ作品である。1989年に公開されたこの映画はソビエト版「大人は判ってくれない」と国内でも話題になったが、89年モントリオール国際映画祭グランプリ、90年ベルリン国際映画祭国際ヤング・フォーーラム、〈ウォルフガング・シュタウテ賞〉を受賞するなど海外でも高い評価を受けた。
 セルゲイ・ボドロフ監督は1948年生れで、喜劇のシナリオ作家として活躍していたが、84年、監督にも進出。監督第ニ作で、誰も聞いてくれるあてのないロック・コンサートをしながら砂漠をさ迷う若者と養老院の老人たちとの出会いを描く「ノン・プロフェッショナルズ」は、80年代の閉塞的な社会を告発して公開が遅れるなど不遇な時もあった。
 主人公の13歳の少年サーシャは自由に憧れ、少年院を度々脱走して、非行を重ねる。手に刻まれた"SER(自由はパラダイス)"の入れ墨は大人たちには、もはやこの少年を見つけるための目印にしか過ぎない。少年の思いとは裏腹に。でも少年はやさしい心や親切に対しては率直になることができた。少年は遂に、行方知れずだった、刑務所にいる父を訪ねて南のアルマ・アタから極北のアルハンゲリスクまでの数千キロの逃避行を決行する。監獄で父と再会した少年はその時、初めて、いつの日か自由の身になるであろう父親と一緒に暮らす日を夢見る……ボドロフ監督は遠く過去の歴史の矛盾にまで遡って、父と子の不幸な犯罪の系譜を探っているが、それでもなお未来を、少年の心に甦る人間への信頼感に托そうとしている。
 サーシャにはボドロフ監督が自ら各地の施設を廻ってイメージがぴったりで抜擢したと言うヴォロージャ・コズイリョフ。彼はこの映画の出演料で母親に白黒TVと冷蔵庫を、弟に自転車を買ったそうだが、なぜかまた盗みを働いて少年院に舞い戻っている。父親はトムスク・ドラマ劇場のアレクサンドル・ブレーエフが演じている。

[あらすじ]
 13歳の非行少年サーシャ・グリゴリエフは収監されているカザフ共和国のアルマ・アタの少年院から何度も脱走を試みる。母親は既に亡く、未だ会ったことのない父親は行方もわからない。
 その日もサーシャは逃亡を計った。行先は、亡き母の友人で、サーシャを幼い頃から知っている唯一の知人、タラワおばさんの家。その夜はサーシャを匿ってくれた彼女も、結局は"裏切者"だった。翌朝、サーシャは地元の警察に保護される。だが彼は、そこで偶然にも父がアルハンゲリスクで生きていることを知る。しかも、父親も彼を探しているという。子供がいると、刑が軽減されるらしい。
 サーシャはまたしても脱走する。目指すは遥か北のアルハンゲリスク収容所。聾唖の男と二人、貸車にもぐり込む。しかし、結局は少年院に連れ戻されてしまった。
 父に会いたい一心の彼は、今度はわざと釘を飲み込んで、病院に連れこまれる。レントゲンを撮っている間にスキを見て逃げ出す……。そして、通りすがりの気弱そうな少年を恐喝して、服と金を奪い、列車に乗り込む。途中、サーシャは列車内で置き引きをはたらいて、乗客の一人に捕まり、車掌に引き渡される。だが、機転をきかせてトイレにしのびこみ、走っている列車の狭い車窓から飛び降りる。なんとか窮地を脱した彼は、ヒッチハイクでトラックに乗せてもらい、次ぎに船に乗り込む。裕福そうで少しおませな少女や、無口だが察しの良い修道女との束の間の語らい……。そしてついに寂蓼とした北の涯にたどりつく。
 刑務所の所長の計らいで、父と子は面会室で一夜を過ごす。長く重苦しい沈黙の後、漸く口を開いた父から、サーシャは自分の祖母が戦後の厳しい飢えの日々に集団農場で5本のきゅうりを盗んだために5年の刑を課せられ、その服役中に強姦されて生れたのがサーシャの父であることを知らされる……。

[スタジオ/製作年] モスフィルム・1989年製作

[スタッフ]
脚本・監督:セルゲイ・ボドロフ
撮影:ユーリー・スヒルトラーゼ
美術:ワレーリー・コストリン
音楽:アレクサンドル・ラスカトフ

[キャスト]
サシャ:ヴォロージャ・コズィリョフ
サシャの父:アレクサンドル・ブレーエフ
タラワ:スヴェトラーナ・ガイタン
少年院の所長:ヴィタウタス・トムクス

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm / スタンダード / カラー
[上映時間] 1時間15分
[日本公開年・配給] ソビエト映画の全貌91(1991/7/27 三百人劇場) ・日本海
[VIDEO・DVDなど] VIDEO=アップリンク

索引ページに戻る
Homeページに戻る
ソヴェート映画史ロシア映画社アーカイブス
このウィンドウを閉じる
広告 [PR] にきび  わけあり商品 資格 再就職支援 無料レンタルサーバー