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ワーニャ伯父さん
ДЯДЯ ВАНЯ

[かいせつ]
1972年サン・セバスチャン国際映画祭銀賞
 アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキーが「貴族の巣」(1968)に続いて監督した映画で、このふたつの作品は、文芸作品の映画化に新しい境地を切り開いたものとして、映画作家としての地位を世界的にも不動のものとした。
 原作は、19世紀末の頽廃した雰囲気の中で愛に身をこがす人々を描いたチェーホフの名作「伯父ワーニャ」。
 この映画ではカメラは、まるで空虚と無理想に過ぎゆく灰色の日々を暗示するかのような、荒廃漂う田舎の邸宅から最後まで舞台を変えない。そしてそこで痛風病みの老教授と若く妖艶な後妻エレーナ、宗教的な忍従と暖い愛の心を持った教授の娘ソーニャ、ソーニャとともに教授のために一生を領地の経営に捧げてきたワーニャ伯父さん、この時代にあってもなお、未来に希望を繋いでいる医師アーストロフらの主人公が、たがいに交錯しあって結ぶことのない愛を織りなし、空しく孤独感を燃焼させている。
 アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー監督は人間の深層心理を描いたこの名戯曲を現代的な視点から見つめて、主人公たちに秘められたアクチュアルな側面と今日的意味をも浮き彫りにしており、見事な俳優アンサンブルやワーニャ役のインノケンティ・スモクトゥノフスキーとイリーナ・クプチェンコの好演とも相まって、この作品はチェーホフの代表的な映画化の一つとなった。

[あらすじ]
 1880年代のロシア。老教授が退職後、若く美しい後添いエレーナを伴って田舎の領地の邸宅に帰ってきてから、ワーニャの生活は一変する。帰郷した老教授に何の才能も功績も認めなかった彼は、自分が教授の学問のために捧げた青春が無意味であったことを悟る。そして老教授への憎悪と羨望にかき乱され、酒に憂さをはらしながら、かつて愛していたエレーナに再び、情熱を燃やす。
 一方、エレーナは田舎で黙々と働きつづける医師アーストロフに寄せるソーニャの密かな思慕を知って、かえってアーストロフを熱愛する。
 とは言え、ワーニャはアーストロフの心がエレーナに傾いていることを姪のソーニャに告げるには忍びない。
 だが、ある日、老教授は新たに別荘を買うために領地を売却することを申し出た。その時、怒りと絶望で発狂せんばかりになったワーニャの報われぬ心を暖かく包んだのは失恋の痛手にあったソーニャだった。

[スタジオ/製作年] モスフィルム・1971年製作

[スタッフ]
原作:アントン・チェーホフ
脚本・監督:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー
撮影:ゲオルギー・レルベルグ
   エフゲニー・グスリンスキー
美術:V・ラッポポルト
音楽:アルフレッド・シニートケ

[キャスト]
ワーニャ伯父さん:インノケンティ・スモクトゥノフスキー
アーストロフ:セルゲイ・ボンダルチュク
ソーニャ:イリーナ・クプチェンコ

[ジャンル] 長編劇映画
[サイズ] 35mm /カラー /
[上映時間] 1時間44分
[日本公開年・配給] 1972/9/16 ・ATG
[VIDEO・DVDなど] 絶版(VIDEO=東宝 VHD=日本ビクター)

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