ロシア映画社 > アーカイブス > パンフレット図書館 | ソヴェート映画史−七つの時代 | ||
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さよなら 故郷オデッサよ ウチョーソフ作詩・作曲 「ジャズはどこで生れたか」より クロール編曲 さよなら 故郷オデッサよ わたしの目には いつまでも お前の切り立つ岩壁に 波うつ海が映ってる 美しい港 公園も わが青春の想い出の街 わたしを生んでくれた オデッサよ |
モスフィルムの最も新しい世代の一人、カレ ン・シャフナザーロフの監督第二作である。 モスフィルム若手コンクールの最優秀監督、 最優秀主演男優、最優秀撮影、最優秀新人の 各賞受賞作で、モントリオール国際映画祭に も出品された。 舞台は1920年代半ばから末にかけてのオデ ッサとモスクワである。当時、ソビエトは革 命後の戦時共産主義からネップ(新経済政策) 体制に変り、戦争で中絶した文化活動も復活 していた頃である。黒海西海岸にあった古代 ギリシャの植民地オデッソスからその名を取 ったと言われるオデッサは、19世紀初期から 自由港として栄え、国際貿易に重要な役割を はたした町だが、1905年に起きた戦艦ポチョ ムキンの反乱でも知られる港町である。 物語はソビエト最初のジャズハンド結成の 夢に燃えた4人の男たち──ジャズの虜にな ったばかりに音楽学校を追われたもと学生コ ースチャ(ピアノ)、自ら、"ハリー・ソルデイ とビリー・モルデイ" と名乗る辻音楽士のス テパン(バンジョ)とジョーラ(ドラム)、か つては宮廷付軍楽隊のサキソフォン秦者で、 いまは泥棒稼業のバブーリンが繰り広げるミ ュージカル・コメディである。何ごとも先達 の道は困難だが、ソビエトでのジャズの歩み も例外でなかったことをこの映画はもの話っ ている。 そして映画のもう一つの主役はジャズであ る。現代の代表的軽音楽アンサンブル"ソヴ レメンニク"の演秦による「アレクサンダーズ・ ラグタイム・バンド」をはじめとする20年代 のスタンダードナンバーや、当時のソビエト の著名なジャズ音楽家レオニード・ウチョー ソフの作品が使われているほか、"ソヴレメン ニク"の指揮者アナトリー・クロールがウチ ョーソフの「ジャズはどこで生まれたか」 を編曲した「さよなら、故郷オデッサよ」、同 じくクロール編曲の民謡「トランク」、また、 ドミトリー・イワノフの詩に作曲家ミハイル・ ミンコフがジヤズ風に作曲した「古いピアノ」 「音楽よ、ありがとう」など4つの主題歌が うたわれている。 この映画は監督が語っているように記録映 画ではない。モスクワの映画館"オクチャー プリ"の舞台でかつてのミュージシャンたち が演奏するエピローグには、この映画の若き 作家たちが、かつて苦難の道を歩いた芸術家 たちに寄せる熟い共感がこめられていよう。 |
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