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無断転載を禁ず -P25- 「惑星ソラリス」パンフレット(1977年6月18日発行)より転載

クリス「あれは人間じゃないですか
? 青い服の女は人間だ.触ること
もできるし,傷つけることもできる
んですね? 今日が,君があの女に
会った最後なんですね」
スナウト「(歩きながら)君は?君
は一体誰だ?」
 スナウト,狼狽して,歩くはずみ
に,机に積み重ねられた物の上から
ピンセットを落とす.
クリス「(ドアの隙問から,廊下を
通り過ぎる女を覗きながら)静かに
…….あの女はどこから現われたん
ですか?」
スナウト「わたしに構わないでくれ
たまえ!」
クリス「恐がっているんですか?
恐れることはありませんよ。わたし
は君を気違い扱いはしませんから」
スナウト「(食べ残しが散らかった
机の傍を歩きまわり)気違いだと!
何を言ってるんだ。君は何も……,
全然何も……,気違いだとはね!」
 スナウト,椅子にかける。
スナウト「まっぴらごめんだ!」
クリス「スナウト,まあ聞いてくれ」

● クリスの部屋
 戸棚の自動ドアが閉まり,明りが
消える.クリス,部屋のドアを大き
な金属箱で押さえる.ビデオをセッ
トし,ブラウン管に顔を向ける。
ギバリャンの声「万事,意味がない
のだ……」
 ベッドに腰を下ろすクリス,ブラ
ウン管にギバリャンと,彼に近づい
て行く若い女が映る.
ギバリャン「いずれにしても彼らに
は分るまい。彼らは本当にわたしが
気が狂ったと思っている」
 ブラウン管を見つめるクリス.
● プラウン管
 ギバリャン,女を押し離して,こ
ちらを見つめる。
ギバリャン「クリス,全くあらゆる
ことが奇怪だというのではないのだ.
わたしは彼らがここに入ってくるの
が恐いから,こうしなければならな
いんだ.スナウトとサルトリウスの
ニ人のことを言ってるんだよ。彼ら
は自分がやってることがわかってな
い…….恐ろしいことだ.クリス,
わたしは耐えられない。誰にもこの
気持ちは理解できまい……」
サルトリウスの声「開けろ!」
● クリスの部屋
 ベッドに腰かけたクリスはサルト
リウスの声に驚き,ドアの方を振り
返るが,思い直してブラウン管を見
る.
サルトリウスの声「聞いてくれ,ギ
バリャン! 開けてくれ! 馬鹿な
真似はやめてくれ! スナウトとサ
ルトリウスだよ。僕らは……」
● ブラウン管
 ギバリャン,サルトリウスの叫び
声に軽く笑いを浮かべ,注射器を取
る。
サルトリウスの声「君を助けたい!」
ギバリャン「わたしを助けたいだと
? いますぐ行く,ドアを叩かない
でくれ!」
ギバリャン「わたしは自分で自分を
裁くよ.(クリスに)「君はあの女を
見たろうか? クリス,これは狂気
ではないのだ.ここではむしろ……」
● クリスの部屋
 眼を伏せ,再びブラウン管に視線
を送るクリス.
ギバリャンの声「良心にかかわるこ
となのだ」
● ブラウン管
 クリスを見つめるギバリャンの顔.
ギバリャン「クリス,君がもっと早
く来てくれると良かったんだが」
ブラウン管,一瞬,空白となる.
● クリスの部
 ベッドに腰かけたクリス,暫くし
て仰向けになる.再び起き上がり,
靴の紐を結び直す.突然何かを思い
つき.戸棚の方へ行く.戸棚の鏡に
映る自分を眺めたあと,机に近寄る.
机からピストルを手にとり,ベッド
にもどって腰をかけ,また仰向けに
なる。ピストルを両手で交互に持ち
かえたりしているが,そのうち眠っ
てしまう。眠っているクリスは,夢
を見て苦しそうな息づかいをする。
ハリーが現われ,じっと椅子に腰か
けている.クリス,手を枕にのせた
まま,うつろな眼でハリーを見てい
る。櫛を手に,椅子に腰をかけ,ク
リスをじっと見つめるハリー,立ち
上がってペッドに近寄り,クリスの
傍に腰かける.接吻するクリスとハ
リー,並んで横になる。クリス,起
き上がリ……
クリス「君はどこから……?」
ハリー「(横になったまま,クリス
の手に自分の手を寄せながら)良か
ったわ……」
クリス「でも,本当に……,僕がこ
こにいるのがどうしてわかった?」
ハリー「どうしてって,なぜ?」
 クリスはハリーの足の傍にあるピ
ストルを取ろうと手を伸ばす。
ハリー「ダメよ,クリス,くすぐっ
たいわ」
 ハリー,起き上がったはずみにピ
ストルを足で床に蹴落とす.
ハリー「(立ち上がって,クリスの
リュックサックに歩み寄り)あたし
のスリッパはどこ?」
クリス「(ハリーの方をじっと見な

がら)スリッパ? ないな,そこに
はないよ」
 ハリーが床に広げた荷物の中に,
ハリーのポートレートがある。ハリ
ー,ポートレートを拾いあげ,戸棚
の鏡の前で自分と見較べる。
ハリー「これは誰? クリス,これ
はあたしのよね?」
 クリス,寝台から立ち上がる.
ハリー「(クリスに近寄り)ねえ,
あたし,何だか忘れてしまったよう
な気がするの。(額に手をやりなが
ら)わからないわ……(クリスに近
寄ってかれの肩に手をやり)あなた,
わたしを愛している?」
クリス「馬鹿なこと言うもんじゃな
いよ,ハリー,そんなことわかりき
ってるだろう。ちょっと行ってくる
が,待ってるんだよ.いいね?」
ハリー「(懇願するような眼差しで,
クリスのあとを追いながら)それな
らあたしも一緒に……」
クリス「いや,ダメだ,すぐ来るか
ら」
ハリー「いやよ!」
クリス「どうしたんだ?何故だ?」
ハリー「分らないわ……,いやよ!」
クリス「どうして?」
ハリー「あたしね,あたし,いつも
あなたを見てないと……」
クリス「君は,子供じゃあるまい?
ハリー,仕事があるんだよ」
ハリー「あたしは馬鹿でもいいわ.
あなただって…….スナウトみたい
に髪ふり乱して走り廻ってるのに」
クリス「(ハリーの方に近寄り)誰だ
って?」
ハリー「スナウトよ」
クリス「スナウトだって? 君どう
して彼を?……行かなきゃならん.
行きたければ一緒に行こう.(戸棚
から宇宙服を出し)その服のままで
は宇宙服は着られないな.脱ぎなさ
い」
ハリー「(服の背中の紐をほどきな
がら)クリス,手伝って! ほどけ
ないわ!……」
 クリス,ハリーの暇の紐をほどく
が,服の背中はもともと開いていな
いのに気づく.破れた袖から覗いて
いるハリーの腕の注射の痕を見つめ

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