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グルィモフ監督の日誌から
第26日目  
 今日は多分一番やっかいな日だった。ゲラーシムをどうやってターニャから引き離すかについて農奴達が話し合うという重要な場面を撮った。農奴達はターニャを酔払わせることにする。最初のカットは割合簡単に撮った。クローズアップの場面が難しかった。俳優達というのは一般的に場面の全体のことなど念頭には無く、自分が撮られる時のみに神経を集中しているものだ。つまり自分だけ目立とうとする。ターニャ役のコーリコバの振舞いがおかしかったので現場をはずさせた。何か彼女の内部で「発酵」していると私は感じた。やがて私には彼女が自らテンションを高めているのだということがわかった。この場面の悲劇性を感じ取る為に彼女はそうする必要があったのだ。私には彼女のこのやり方が気に入ったので彼女に調子を合わせることにした。そして彼女が古ぼけたきたならしい杯からウォッカを飲む場面を撮ることになった。彼女は本物のウォッカを飲みたくないと思っていることに気づいたので私はそれを強いることはしなかった。彼女がどうやってこの杯を手に取るのか、どうやってそれを下に置くか、他の農奴達がどの様に彼女に杯をつきつけるか −これらはみな極めて大事なシーンだった。杯の片一方は熱くもう一方は冷たくなくてはならぬのだから、こうやって飲むべきなのだということをやって見せた。しかし彼女はこの杯はサビているからそれから飲むことはしないと言ったので極めて気づまりな雰囲気になり現場が緊張した。私はこの緊張した雰囲気を彼女の演技に役立たせようとしたし、又私が彼女に調子を合わせるつもりだったことを思い出した。そこで私は大声を出した。結果は気分のいいものではなかった。彼女は泣きながら森の中に駆け込んでしまった。私はカメラマンにこれから彼女のクローズアップを撮るからと言い置いて彼女の後を追った。そして私と彼女はお互いに思っていることをはっきりと言い合った。クローズアップは素晴らしくうまくいった。彼女の演技は見事だった。撮影が終わったのは午前2時だった。今日私は皆をどなりつけた。こんな日もある。
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